【体験型観光が日本を変える 91】人は皆違う、人は人に学ぶ 体験教育企画社長 藤澤安良


 自民党の総裁選が行われ、実質日本の総理大臣を選ぶ選挙となり、安倍総理が3選を果たした。政治評論家でもない故、いきさつや票の出方を論ずることはないが、若者は大変な生活を強いられている感が否めない。社会的な弱者も少なくない。格差社会が広がってもいる。誰を見て政治を行うべきか、利権、保身、面子に無縁で国民ファーストでの政策が展開されなければならない。

 朝鮮半島の両首脳が会談し、蜜月ぶりを報道を通じて世界に発信している。目まぐるしく展開する国際情勢に日本は、非核、環境、人権など、どの場面で存在感を示せるのかしっかり見極めてほしい。

 芸能界では、絶大なる人気を誇った国民的アイドル歌手、平成の歌姫とも称された安室奈美恵さんが惜しまれつつ引退した。14歳でのデビューから実に25年になり、40歳の現在も容姿もスタイルも若々しく、ダンスや歌唱力も衰えず、昭和の歌姫、山口百恵さんと同様に、若くて美しいままをとどめておきたいという、彼女なりの美学なのであろう。

 また、全身がんと言いながら、苦悩を人に見せず、最後までテレビや映画に存在感を示し続けた大女優、樹木希林さんが帰らぬ人となった。飄々(ひょうひょう)として絶えず前向きであった生きざまは女優魂であり、それもまた美学なのであろう。人はそれぞれみんな違う、人はそれぞれ何一つ同じものがない。決して、圧力や締め付けであっても、パワハラであっても、真の心までは動かせない。考え方も生き方も同じではないが、見習いたいものは多い。決して強いることなく同調や賛同をしてくれたり、見習ってくれるような人物にならなければならない。人は人に学ぶのである。

 年間300日、地方での仕事があり、農家や漁家、商工会や商工会議所、議員や市町村長や知事など多くの方々とも会食をし、情報交換もしている。その地の経済も人の思いも活力も、魅力も課題もよく分かる。それらの全てが旅の資源素材になる。豪雨や地震の後、多くのボランティアが現地を訪れ、被災地復興に貢献している。人のためになることの大切さを人類の多くが理解しだしている。

 地域振興や社会貢献したいという思いをかなえ、地方が交流人口を拡大し活力(経済効果と精神効果)を得ることで双方がよくなり、世間や世界が豊かになることは万民の望むところであろう。体験交流型観光はその理念と仕組みそのものである。

 豪雨のため土砂崩れで流された、手入れが進んでいなかった人工林の杉。今月も2回森林間伐プログラムの研修会を行う。海岸に漂着した数多くのゴミ、海岸清掃から見えてくるゴミの原因と課題を確認するプログラムも各地で展開している。情報では知り得るが、確認できるのは現場であり、深い理解は体験からでしか得られない。そしてそれは、体験談として語ることができ、真実として心に刻み行動に移せる可能性を持ち、人生をよりよく変えられる機会でもある。

 
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