【体験型観光が日本を変える 63】教育は機会づくりから 藤澤安良

  • 2018年2月26日

 平昌オリンピックが佳境を迎え、男子フィギュアスケートで羽生結弦選手が2大会連続の金メダルを獲得した。大けがからの復活とあって、その偉業がさらに称賛されることになった。技量は当然ながら、その強い精神力に心打たれた。宇野昌磨選手も銀メダルを獲得し、国内でも大いに盛り上がった。

 羽生選手の幼少時代の夢は、オリンピックで金メダルを獲得し、さらに2連勝することと書かれていたとのこと。大けがでもあきらめず、その夢を追い求めた、その心の強さと行動力に、日本はもちろん世界中の多くの人々に感動を与えた。

 若者と言えば、将棋の最年少プロ、藤井聡太五段が、国民栄誉賞を受賞した羽生善治棋聖を破り、最年少で中学生初の一般棋戦優勝を果たした。同時に六段に昇段し、最年少記録となった。

 これらの出来事は多くの青少年のあこがれであったり、目標となったりしたはずである。スポーツや文化を問わず、何かにひたすら情熱を燃やし、挑戦し続けるものがあることは人間を大きく、たくましくさせる。

 勉学一筋に高学歴を目指す人もいるだろうが、若いうちにこそ、体力や技術が身につくことがある。文武両道という言葉があるが、スポーツに限らず学問以外に何ができるか考えてほしいものである。若いと言える時間はそう長くない。それゆえに、家の中に閉じこもり、人との接触も会話もなく、電子ゲームばかりに興じていてはもったいない人生になる。場面、機会、人間にもまれることが成長の糧となる。

 田舎に住んでいた私の子ども時代は、野山を駆け巡り、川や海で昆虫や生物を追いかけていた。この歳になっても山、川、畑、田んぼ、海などの風景は懐かしく、心が和む。児童生徒にも大自然や田舎の中での体験や暮らしの機会が必要だと感じている。

 修学旅行生の体験学習を農山漁村で受け入れているが、団らんの時間に話をすると、「なぜか田舎は心が落ち着く」「ゆったりと時が過ぎてゆく」「ご飯がおいしかった」「こんなところで暮らしたい」との感想が語られる。「こんな温かい食事をしたことがない」と言って泣き出す生徒もいる。「帰りたくない」などと涙を流す子も少なくない。

 何かに夢中になること、身体を思い切り動かすこと、大自然と触れ合うこと、人といっぱい話すこと、将来の夢や希望を考え話すこと、とれたての野菜、新鮮な魚介類で作りたての食事を食べること、多くの家族や仲間と一緒に食事し、「ワイワイ」「ガヤガヤ」する機会、これらが今の時代に足りないものでもある。

 親も、学校も、国家も、教育は機会をつくるところから始めなければならない。体験教育活動の重要性が浮き彫りになった。一つの種目で金メダルは世界で1人だけしか取れない。しかし、あこがれて挑戦するのは多くの人にチャンスがある。それぞれの人の数だけ物語がある。汗と涙の粒だけたくましくなる。若い時の苦労と体験は何一つ無駄にはならず、心の栄養となる。

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