【体験型観光が日本を変える 169】コロナ後は社会変革の時 体験体験教育企画社長 藤澤安良


 新型コロナウイルス感染は依然として、東京で30人前後の感染者を出している中で、6月から全国的に徐々に社会経済活動が再開されつつある。東京・新宿では自粛要請下にある接待を伴う飲食店の営業が再開されつつある。いずれの業種であろうと、遅くて少額な休業補償も当てにならず、生きる糧を得るためには営業しなければやっていけない事情がある。

 日本よりはるかに感染者が多い欧州でも国交の回復が始まろうとしている。日本でもアジア・豪州の4カ国に限り、仕事での入国を受け入れる予定でその条件を検討している。

 その条件は、出発72時間前にPCR検査をし、陰性証明書を提示し、さらに日本到着時にも検査し陰性を確認された渡航者という。その条件なら、いったんは安心できる材料となる。

 野球選手も、Jリーガーも検査をして開幕するという。接待を伴う飲食店従事者も検査をすべきだとする議論もある。何回も述べているが、修学旅行生も同様である。

 教育現場は9月新学期案が政府見解として先送りになったことから、ほとんどの学校が工夫をしながら遅れている授業を開始した。3カ月に及ぶ長きにわたった休校中の過ごし方が格差を招いている。

 リモートでの授業はパソコンおよびその周辺機器と、ネット環境が整っていることが条件となるため、その条件が整わない家庭では困難となり、非正規雇用やシングルマザーなど所得格差が教育の格差につながっている。

 アメリカの黒人死亡事件を巡っては、人種格差の問題が浮き彫りとなり、コロナ感染死亡率も米国や英国で2倍以上に及ぶという報道がなされている。米国のみならず、欧州各地へと広がりを見せる大規模なデモは単に人種差別の問題にとどまらない。いくつもの複合的な社会問題をはらんでいる。

 Go Toキャンペーンの政策は、観光産業には窮地に陥っている現状を打破する可能性を期待するものであるが、そのシステムに3095億円の経費が計上され、多すぎるとして再考されることになった。

 旅行業界で年間売り上げがその額を上回る会社は数社しかない。つまりは本来の旅行取り扱いによる利益よりもシステム経費で利益を得る組織が生まれることになる。

 誰もが苦労している最中の時期に、国民の血税である国家予算をコロナ特需で暴利をむさぼることになってはいけない。消費者である国民が行きたいところへ、泊まりたい宿へ、参加したいツアーに適応すべきである。実にシンプルであり、その方法はそれほど複雑でも難しいものでもない。

 コロナ禍において、コロナと付き合う新しい生活様式が提案されている。同時に、経済最優先から、動き出しつつある「SDGs」など人類の存続に向かう時である。私利私欲、暴利や不当利益、自己中心の価値観からの脱却でもある。

 教育、雇用、所得などの格差社会の是正は貧困の連鎖を断ち切ることにある。コロナ後の政策では幼児から大学までの教育無償化が効果的である。社会の変革の時を迎えることになる。

 
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