【体験型観光が日本を変える 162】国は「国難」の意識を持て 体験教育企画社長 藤澤安良


 新型コロナウイルスによる「緊急事態宣言」が7都府県を対象として発せられたが、感染拡大はとどまるところを知らない。3密を避けるための食堂や居酒屋、あるいは飲酒接客を伴う店などの補償なき時短営業や休業要請は、経営破綻を招くのは必至である。

 また、企業の通勤を8割抑えてテレワークにと言われても、容易に在宅が可能なら時間とコストをかけて高い家賃のオフィスに行く必要がないことになる。テレワークの実態は体裁を取り繕った自宅待機に近いものがある。

 パソコンと電話で済む仕事ばかりであるはずもなく、販売業、サービス業、製造業、交通機関などの現業部門では職場に行かなければ仕事にならない業種が2割であるはずもない。時短営業といって、19時以降はアルコールは出さず、20時閉店では売り上げは上がるはずはない。休業要請と言わない休業要請である。

 苦肉の策として昼間から開店する居酒屋もあり、3密は昼も夜も、酒でもジュースを飲んでもコロナウイルスはやってくる。

 スーパーやコンビニ、日用品のホームセンター等は営業してもいいとされて開店しているが、宣言後、テレビ報道で安全対策をとり、ソーシャルディスタンスなるものを実施しているという大型スーパーへ食料品購入のために訪れた。

 レジ前のみ床に印があり、間隔を案内するスタッフがいたが、売場は全く規制も誘導も案内もなく、2メートル間隔は守られず肩が触れあう場面もある状況で、これでいいのかと疑問は膨らむ。つまりは、この非常時を想定したマニュアルがないのであろう。

 臨機応変な対応ができない昨今の日本のサービス業の弱点でもあり、マニュアルやプログラムでしか動けない人間のロボット化が始まっている。人間力の退化でもある。医療現場もマスクや防護服不足、病床数不足と大変であるとの報道からうかがい知ることができる。

 院内感染が相次いでいる中、医療従事者の多人数での飲み会が行われていたり、ある警察署では飲み会をしたにも関わらずなかったと言ってみたりと、危機感のなさが露呈した不祥事も起こっている。一方で補償も定かでない中、自粛や時短営業や休業要請に対して真面目にけなげに応じている商店や企業も多い。

 それらは、日本人の良心であり良識でもある。それに甘えて見て見ぬふりはいけない。しっかりと社会システムの中で補償することが国家の信頼を得ることになる。このままでは、国家予算で事業をまともに行える状況にないことから、年度末に消化のためのバラマキや無駄遣いが起こらぬように、補正予算を組み、コロナ対策として現金支給に回すべきである。

 これだけの非常事態に都道府県に権限委譲と言いながら、国が責任逃れやお金逃れをするようなことになれば、国民の代表である国会議員は誰のために税金から給与をもらっているのか、政府は誰のためのものなのか、どこかの国のように、そんな疑問を国民が抱かぬような行動が求められている。国難にこそ、さまざまな課題が浮き彫りになる。乗り越えないと出口がない。

 
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