【体験型観光が日本を変える 160】五輪延期、観光産業に影響大 体験教育企画社長 藤澤安良


 新型コロナウイルスの感染はとどまることなく増え続け、瞬く間に世界百数十カ国に広まり、渡航停止や入国拒否、あるいは外出禁止等の感染防止策がとられている。そんな中、東京オリンピック・パラリンピックの1年程度の延期が確定した。

 次年の開催に向けて会場の確保や選手選考などの課題は山積しているが、長年の労苦が水泡に帰す中止ではなく、延期となり不幸中の幸いである。今後の動向次第では予断を許さない状況ではあるが、完全な開催に向けて世界が一丸となってこの難局を乗り越えなければならない。

 3月25日、東京の桜が例年より10日ほど早く満開を迎えているが、宴会や座り込んでの花見の自粛から、ついに上野公園の桜通りが閉鎖されるまでになっている。テーマパークも遊園地も休業し、イベントやスポーツも中止や延期となり、デパートなども土日の休業や時短営業となる等、雇用と経済に大きな影響が出始めている。

 とりわけ、観光産業は夏に予定していたオリンピック関連の特需も消えてしまうこととなり、経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)な中小の貸切バス会社や旅館・ホテルは経営の危機に陥ることになる。その状況下で職を失う人や新規採用の内定取り消しも少なくない。

 また、収入のない中で既存の社員の給与を支払うことさえ困難になってくる。職のなくなった人の生活を守り、企業の存続をさせる手当が必要になる。優先順位と幅広い見知と迅速な動きが政治に求められる。長引けば不要不急の自粛から外出禁止や都市封鎖になれば運動不足やストレスが大きくなる。

 感染予防に、「密室など換気が悪く」「人が密に集まって過ごすような空間」「不特定多数の人が密接に触れる場所」を挙げ、「三密」と称して注意喚起をしてきた。それは、おおむね都市機能の論理である。

 私がお手伝いしている過疎の田舎では、地域住民に会うことすら珍しいし、密集したところなどはほとんどない。

 列車や高速バスは密室に近いが、いささか外出自粛に逆行するが、三密から逃れてマイカーやレンタカー利用なら出掛けるのもいいのではと思う。

 ガソリンが比較的安いし、全ての高速道路が無料よりも1日3千円乗り放題となるならより遠くへ行くことになり、宿泊施設も3割引から半額程度の割引キャンペーン行うなど、官民一体となって疲弊している地方の観光を盛り上げるべき時である。

 旅先は自然豊かな田舎になる。トレッキングやハイキング、あるいはカヌー、農林業体験など三密とならずに活動できるプログラムが豊富にある。旅行需要を喚起しなければ、持続可能な未来につながらない。より安心度を高めるために、簡易で安価な検査キットを早急に完成させてほしい。

 受け入れ条件を陰性とするなら行動範囲が大きく広がることになる。そのためには、なお一層、三密に加えて、手洗いの励行やうがい、マスク着用を徹底する必要がある。火事場泥棒や私利私欲とは無縁で、世界中の知恵と行動と財力を結集し、人類を守るべき試練の時である。

 
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