【体験型観光が日本を変える 135】全国教育民泊協会 体験教育企画社長 藤澤安良


 香港や韓国が政情不安定な時にあって、日本では台風13号と15号の影響もあり、停滞する線状降雨帯が全国各地で頻繁に大雨をもたらしている。その両台風の隙間を縫って9月7日、高知県四万十市で、全国各地から約50人が参加し、「全国ほんもの体験ネットワーク」と併せて「全国教育民泊協会」の総会が開催された。

 教育旅行での民泊は1998年に南信州から始まった。20年の歳月を経て現在ではその教育効果の理解が進み、市場は生徒の減少が進行する中にあっても、広く学校で認められるようになり、とりわけ、私立の学校行事に、学校の存在価値や人間力向上を狙い教育民泊が増加しつつある。

 昨年6月15日に施行された民泊新法の空き部屋貸しとは全く異なる理念や目的である。教育効果が高く、安心安全な受け入れ地を目指し、メンバー相互で情報交換を活発に行い、担い手やコーディネート組織の教育研修を実施。次代を担う青少年健全育成に貢献し、交流人口拡大や地域振興において重要な役割を担うことを目的にしている。

 会議では課題と対策の情報共有として、(1)安全対策、危機管理、法令遵守の受け入れ態勢整備(2)増え続けるインバウンドの田舎への誘客推進と対応について(3)マーケットの動向(私立大規模校の拡大、新学習指導要領「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けての提案、社会貢献プログラムのニーズへの対応、SDGsの教育現場への提案、キャリア教育、主権者教育など教育課題の解決のための提案)(4)企業研修やCSRの推進について(潜在的なニーズは存在するが、企業研修会社も法人旅行会社も、体験教育の教育効果とその有効性が理解されていない。大きなビジネスチャンスであるが残念ながら旅行業界は気付いていない。受け入れ側からの企画提案が必要となる)(5)体験プログラムを一般客に売る手法(6)宿泊施設の目的提案として体験プログラムと宿泊を組み合わせた宿泊パックの推進(7)教育民泊の受け入れ家庭の拡大と、受け入れ頻度および受け入れ確率のアベレージ向上―など4時間にわたって活発な議論が繰り広げられた。

 会議の後の情報交換会では、地元の幡多広域観光協議会の会員である関係自治体の正副市町村長や観光関係部署などの参加があり、大いに盛り上がった。

 体験型観光は人口減少が著しい地方にとって、交流人口拡大による経済効果と精神効果を得られる総合地域活性化産業であるとの認識で一致しており、参加者は成功事例やノウハウを学び、多くの課題に立ち向かう地域での活性化につなげる意欲と勇気を得る機会となった。

 次回の総会と全国ほんもの体験フォーラムは来年3月20日から3日間の日程で長野県飯田市を中心に南信州広域で開催され、全国から千人を超える参加者が見込まれている。

 
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