【体験型観光が日本を変える 125】オリンピックを誘客の好機に 体験教育企画社長 藤澤安良


 オリンピックの開幕まで400日を切った6月20日、観戦チケットの抽選結果が発表された。私も可能な枠一杯のチケットを長時間かかって申し込んだが、残念ながら全て抽選に漏れてしまった。次なるチャンスに期待したいものである。

 チケット入手が困難なこの状況は、国民のオリンピックへの関心がいかに高いかを示した証しでもあり、喜ばしくもある。

 しかし、開催地は東京およびその近郊が中心であり、にぎわいも経済も東京中心になる。東京と地方の格差がますます広がる中、オリンピック観戦客や選手関係者など、訪日外国人が開催前後に東京から地方への動きをしてくれることに期待したいし、地方も呼び寄せるチャンスを生かすべくアピールしなければならない。

 聖火リレーが全国各地を回って開会式を迎えることになるが、経済の恩恵は全国等しく回ることにはならない。事前にアクションを起こすか、起こさないかでは、大きな差が出るであろう。

 爆買いが沈静化してきた訪日外国人。「物消費」から「事消費」へと言われているが、事消費の代表的な体験交流型の観光は、受け入れ側が何もしなければ事は始まらない。体験プログラムの整備や、インストラクターやガイドなどの人材育成が不可欠であり、さらには運営窓口となるコーディネート組織の存在が欠かせない。それらの一連のシステムは、訪日外国人の誘致に限らず、国内の一般客や教育旅行の誘致にもつながる。

 高知県嶺北地域で7月7日から12月25日まで、「アウトドア」「生活文化」「食」をテーマとした地域博覧会「土佐れいほく博」が開催される。

 人口減少に伴う少子高齢化や後継者不足、産業の衰退は全国共通の課題である。

 「体験型観光」「交流」というキーワードで地域外から多くの来訪者を呼び込み、絆を深め、交流人口を拡大することでこれらの課題を解決するのが今回の取り組みの狙いである。

 雄大な自然にチャレンジし、アクティブに体を動かし、遊び、食べ、学び、自然のパワーをフル充電。そんな元気が出る博覧会を、地域が一体となって開催するものである。パビリオンを設置するのではなく、ラフティングや登山などのアウトドアや、地域の生活文化を体験する観光キャンペーンである。

 過日、私の専門分野である体験プログラムの磨き上げと、インストラクターのガイド養成講座を、1泊2日(10時間)で当地で行った。

 講座では、プログラムの進行手順、相手の印象に残るものの伝え方、安全対策と危機管理を徹底。フィールドワークではお客のモチベーションを高め、仲間意識を醸成しつつ、風景や気象、動植物、歴史、民俗などをどのように分かりやすく、正確に伝えるかの実践を行った。

 今後は農林業の現場に入り、作業を通じて気付き、学び、感動してもらうための体験プログラムを盛り込んだ進行表の作成を行い、開幕に備えることとなる。関係者の期待が高まっている。

 
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