【体験型観光が日本を変える 119】八丈島を旅して 体験教育企画社長 藤澤安良


 日本国中が新天皇の即位と新元号「令和」に沸いた。さらに史上初の10連休となったゴールデンウイークも終わり、静けさが戻り出したかと思えば、オリンピックの入場券の予約申し込みが開始され、9日の初日は百数十万件もの予約が殺到し、ネット上での待ち時間が2時間以上に及ぶこともあったという。前評判の高さをうかがい知ることができて、一安心である。

 小学生の頃、1964年の東京オリンピックの開会式の入場行進をテレビで見ながらテープレコーダーに吹き込んで感動した。あれから56年、もう次の機会はあるはずもない。もし予約し抽選で当たったら、ぜひ観戦したいものだ。米中貿易摩擦、米朝、米ロ、日ロ関係も進展なしと微妙な外交問題もあり、何事もなく世界中から選手が参加してくれることを望む。

 連休の終わりにかけて、空席と空室を探して、5日から44年ぶりの八丈島に出掛けた。10連休の8日目とあって、航空機も空席が目立つ状況であったが、島内での交通はもっぱらレンタカーに頼るしかなく、なかなか見つからず、やっとのことで軽バンに乗ることになった。小さな島であり、道も細いところがあり軽自動車で十分である。

 八丈島出身の知人から流人の歴史の勉強をしてから行くようにと諭された。戦国時代に豊臣秀吉の家臣として活躍し、関ヶ原の合戦で西軍として敗戦の後、八丈島に流刑された宇喜多秀家に関心があり、民俗資料館で知識を得て、秀家の墓や秀家と豪姫の碑などゆかりの地を訪ねた。当然ながら、八丈富士に三原山と火山の島らしい山容は美しく、海もきれいで、植物は奄美大島とほぼ同じ生態系であり、豊かな自然が広がっている。広大な面積の植物園では亜熱帯の多くの植物が観察できる。

 島特有の玉石垣で囲まれた服部屋敷跡では、800年を超えるといわれるソテツも玉石垣も見事である。伝統的な染め織物の黄八丈の織元を訪ねた。作業の手を止めて親切に説明をしてくれた。長い年月を受け継がれてきた伝統の火を絶やすまいと、全て手織りの機織機が絶え間なく動いている。何の手助けもできないが、せめて何か一品を買わねばと思い買い求めることにした。

 夜はホテルから町に繰り出し、とても盛況な地産地消の居酒屋を訪ねた。刺し身は全て地元の近海物、すしは漬けにしている島ずしと明日葉の天ぷらなどが地産物である。お酒は伊豆七島の焼酎がそろっていた。人気の店だけに予約をして訪ねたが、満員だった。島は海水浴を目的とした夏休みが特別混み合うらしく、居酒屋は半年前の2月から予約が必要とのこと。オリンピックでもあるまいに「本当ですか」と聞き返してしまった。

 クジラは時々見えるらしいがホエールウオッチングなるプログラムはなく、ダイビング、トレッキング、釣りなどのプログラムがある。羽田からわずか50分で美しい亜熱帯の島に行ける。通年化・平準化・滞在化のためには、体験プログラムの整備が必要となる。

 
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