【体験型観光が日本を変える 111】米朝首脳会談、3・11…


 米国と北朝鮮の首脳がベトナムまで巻き込んで会談を行ったが、表面的には物別れに終わり、核兵器削減には至らなかった。結局、北朝鮮のミサイルが日本まで飛んでくる危険性がなくならないままである。

 拉致問題も領土問題も徴用工や慰安婦などの戦後問題も解決どころか、蒸し返されたり、何も進展しない状況が続いている。どうやら私益を優先するがあまり、国益や地球益が二の次、三の次になっている。本当に問題を解決するという大物政治家はいないのかもしれない。

 国内では、復興支援道路の東北横断自動車道の一部11キロが3日開通した。9日には残り区間が完成し、釜石花巻道が全線で開通。内陸と沿岸を結ぶ横軸がつながり、いずれ三陸海岸を北進し八戸まで開通するのであろう。当該地域の活性化が期待されるが、何もしなければ、何も起こらない。

 東日本大震災前から体験型観光を推進している岩手県田野畑村でガイド・インストラクター養成講座を行った。既存の人材と体験プログラムの磨き上げでもある。座学やロールプレイングに続き、実践研修では当地のキラーコンテンツでもあるサッパ船アドベンチャー(9人乗りのわかめ漁の船)と、3・11大津波ガイドツアーである。

 冬の海だというのに、穏やかで海面近くから200メートルに及ぶ断崖を見上げたり、奇岩が次々と現れ、その合間を縫うように巡るが、ベテラン船長の操船技術にも景色にも感嘆の声が挙がった。大津波ガイドは全て3・11当日の津波を経験し、九死に一生を得た人からの生の体験談が聞けるとあって、災害国日本にとって防災意識の醸成のためにも大切な歴史の教訓となるはずである。
 3・11を迎える春まだ遠いこの季節でも、いずれのプログラムもお客に感動を与えることができる。冬は、ウインタースポーツに限るだけでなくあらゆるプログラムの提案が必要になる。都市部には大型テーマパークに行く人が訪日外国人をはじめ多くやって来る。一方で、地方の宿には客がいない。

 過日、田舎にある100人収容の立派な施設のホテルが、金・土曜にも関わらずか2日連続で宿泊客は私1人であった。その前の週の400人収容の旅館でも20人程度しか泊まっておらず、定員稼働率は10%に満たない宿が少なくない。そんな宿は、食事の地産地消率も少なく出来合いの総菜を出すなど、私の基準からは料理が悪いことになる。

 料理も旅の大きな目的になり得る。さらには、旅の目的提案ができていないところばかりがお客を集められていない。田舎で何も名所旧跡がないところでも、自然体験、1次産業体験と、それにつながる食事作り体験、高齢者の知恵と技を学ぶ伝統工芸体験など素晴らしいプログラムが山ほどある。宿泊施設とプログラムをコーディネートする組織が連携し、前述のようにガイド・インストラクター養成講座を行い、世の中に情報発信することが必要となる。価値ある田舎の活性化の手法である。

 
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