
当社はバス業界に特化した人材採用支援サービスを展開する会社で、バス運転手専門の求人サイト「バスドライバーnavi(通称どらなび)」を運営しています。その経験の中で今、日本でバス運転手が不足している原因の一つに「性別の偏り」があることをこれまでにも書かせていただきました。今回は貴重な存在である女性バス運転手について触れたいと思います。
現在、日本のバス運転手は約12万5千人。その中で女性はたった1%台しか存在しません。バス運転手は中高年の男性の職業、というイメージですが、諸外国ではバス運転手の男女比率が5対5の国もありますので、バスの運転手は男性でなくても女性でも活躍できる仕事であるといえます。
最近では、男性社会であった電車の車掌も女性が増えてきています。逆に女性社会であった看護師や保育士の男性比率も少しずつではありますが、高まってきています。人材不足に悩む職種の解消には「性別の偏り」を見て見ぬふりすることはできないのです。
人類共通、男女比率は5対5ですから、片方の性別を受け入れないということは最初から半分の採用チャンスを逃していることとなります。身体の作りの事情でどうしても男性または女性でないとできない場合を除いて、ここで制限を設けるのは非常にもったいないことです。職業選択には自由もありますし、何より人が職業を選ぶ際に優先順位を上げて重視すべきことは「その仕事にその職場に魅力を感じるかどうか」だからです。人が働くのは、もちろん生活のためでもありますが、可能であれば、一生懸命打ち込める仕事、充実感を得られる仕事に就いた方が幸福感は高まります。
バス運転手になりたいと思う女性が応募しづらい状況というのは改善すべきです。しかし、性別が偏る職場では少数派は肩身の狭い環境を余儀なくされることも少なくありません。国内のバス事業者は、政府の「女性活躍推進」の推奨もあり、昨今、女性バス運転手採用を加速させています。女性用の設備や制服、勤務シフトの整備など積極的に環境改善に取り組んでいます。
コロナウイルスの影響で厳しい状況が続く中ではありますが、業界も各事業者も女性採用とその定着に向けてたゆまぬ努力を続けています。今後は、バス業界が女性を積極採用する姿勢を示していることをいかに一般女性に広報PRしていくかが大切だと考えます。
(リッツMC代表取締役社長兼女性バス運転手協会代表理事)