【令和時代における交通インフラの人材採用37】緊急事態宣言が明けて 女性バス運転手協会代表理事 中嶋美恵


 さる5月25日、ついに緊急事態宣言が全国的に解除されました。東京は通勤ラッシュが復活し、街は少しずつにぎわいを取り戻しつつあります。一方、特定の地域では再び感染者数の増加やクラスター発生など想定の範囲内とはいえ由々しき事態が発生しています。

 一言でバスと言っても実は、路線、高速、観光、送迎、リムジンなど、その形態は多岐にわたり、役割も地域の足、一次交通、観光の要、災害時の代替輸送などさまざまです。バス運転手もバスを運転するという行為自体は同じでも、どのカテゴリーのバスを運転するかで、その働き方や雇用条件、給与体系など、まったく別の職業と言っても過言ではないほど、その内容は変わります。緊急事態宣言が解除された現在、どのカテゴリーのバスを運転しているかにより、お仕事の状況は大きく異なっています。

 路線バスは緊急事態宣言中も変わりなく通常運行していました。が、減便や運行ルート変更など影響は少なからずありました。

 高速バスは、減便はもちろん、大手であっても全路線休止とせざるを得ないほど、乗客減少に歯止めがかかりませんでした。高速バス運転手は2日に1度の勤務や、月単位での自宅待機などを余儀なくされました。

 観光バスは一番打撃が強く、3月から5月の受注はゼロというバス事業者も少なくありません。観光バス専業者に関しては、運転手は全員自宅待機というところもありました。

 政府が緊急予算の約2割を観光産業に充てると発表していますのでその効果に期待したいところですが、需要が戻るのは、残念ながらまだ当分先になりそうです。企業、学校、病院、介護施設、ホテル、旅館、塾、スイミングスクール、アミューズメント施設等々の送迎バスは、各々の稼働状況によって状況が異なっています。リムジンバスは航空便の減少により運休、減便しつつも厳かに運行を続けています。

 新型コロナウイルスの感染拡大はバス業界にも非常に大きな影響を及ぼしました。しかし、他業界と同様にコロナと共存する今後の新たな方向性を見いださなければならない緊急局面を迎えています。

 新たな観光産業の在り方と絡め、交通インフラとしてどのように対策を講じるのか。バス業界が一致団結し、改革に取り組む必要があります。

 (リッツMC代表取締役社長兼女性バス運転手協会代表理事)

 
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