【令和時代における交通インフラの人材採用28】新型コロナとバス運転手採用 女性バス運転手協会代表理事 中嶋美恵


 新型コロナウイルスが世界で猛威を振るい、大変な事態になってまいりました。観光産業、運輸産業への経済的損失には目を覆うものがあります。

 当社はバス運転手専門の求人サイトを運営しておりますが、やはりコロナウイルスの影響は避けられず、それなりの損失を受けることとなりそうです。この程度であればまだ影響が少ない方だとは思いますが、いつ収束するかも読めず中長期的な事業計画の変更を余儀なくされそうです。

 しかし、この状況を違う角度から見ると、バス事業者の求人は他業種に比べるとまだ採用活動を休止したりしていないということになります。一つはそもそも人ありきの事業モデルであるにも関わらず以前より全国的慢性的に人材不足であったということ。もう一つはこのような危機的状況下にあっても交通インフラとしての「バス」が、また「バス運転手」という職業が必要不可欠であるという点です。

 東京では都知事より、イベント自粛、外出自粛、在宅勤務や時差通勤の推奨などロックダウン(都市封鎖)手前の指示が出ています。強制的効力はなくても最近の東京の街は首都とは思えないほど、閑散としています。しかし、路線バスはダイヤを間引くこと、減便することもなく通常通りに走っています。必要に応じて通勤する人、病院や役所に行く人、生活必需品の買物に行く人々の足だからです。

 一方、観光バス、高速バス、リムジンバス、送迎バスなどは影響が非常に大きく、自社の運転手を自宅待機させたり、解雇したり、経営続行を断念したバス事業者も出てきています。確保できなくて苦労して苦労して採用した運転手を手放さなければならない苦悩はいかほどのものか、察するに余りあります。

 現在、政府や行政が中小企業向けを中心とする経済施策を打とうとしています。利用できるものは利用した上で、正常な状態に戻るまでこの場をどう乗り切るかです。

 今優先すべきは、できる限り現在の雇用を維持すること。可能であれば、新型コロナウイルスの影響で求職を余儀なくされている市場にあふれた豊富な人材を確保すること。そして、感染収束後、観光産業も運輸産業も速やかにV字回復するためのさまざまな対策(人材の採用と定着を含む)を打つべく、今から検討していくことが重要だと考えます。

 (リッツMC代表取締役社長兼女性バス運転手協会代表理事)

 
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