【令和時代における交通インフラの人材採用25】理想の採用とは 女性バス運転手協会代表理事 中嶋美恵


 当社では、企業にとって理想の人材採用の最重要項目を次の五つと定義しています。今回は、この五つについて解説したいと思います。

 (1)「欲しい人材を」…年齢、性別、資格の有無、スキル、キャリア、人柄など、採用する側の欲しい人物像を明確にして、応募者に分かりやすくPRする必要があります。

 (2)「欲しい人数」…10人採用したいのに3人しか採用できなければ、それは成功とはいえません。しかし、10人採用したい場合、10人の応募では人選できません。母集団不足です。採用率にもよりますが、例えば、内定承諾者10人→合格者15人→受験者25人→応募者30人は必要、というふうに逆算し、そもそも応募者が何人必要なのかを試算します。

 (3)「期限までに」…4月から増員したいのに6月入社では当然間に合いません。離職者は別として、仮に4月1日付で入社させたい場合、1月に募集→2月末までに選考を終え内定を出す→応募者は2月末までに勤務中の会社に退職願を提出し、3月末までの1カ月間引き継ぎをするという流れが一般的です。ということは募集要項や募集手段は前年の12月中に取りまとめて、手配する段取りになります。

 (4)「できるだけ安価に」…1人当たりの採用コストを意識することは重要です。この部分については次週の連載で書かせていただきたいと思います。

 (5)「効率よく」…これは極力手間をかけずに済む採用ということです。全国の企業とお取引している中で感じるのは、人事採用部門の人員も不足しているということ。必要最低限の人数で回している、専任者がおらず兼務で採用を担当している会社が非常に多いのが実情です。しかし、本来企業にとって「人」は「人財」というくらい非常に重要なもの。採用担当者が頻繁に交代する、あるいは専任者がいない会社は採用ノウハウが蓄積されません。逆に同じ担当者が何年何十年も同じだと「いやうちは前からこういうふうにやってきたから」「その方法は失敗した経験があるから」というようになり、新しい採用手法を受け入れるのを拒んでしまい、結果的に採用の変化に乗り遅れてしまうことになります。

 よく企業活動の基本は「人・物・金」と言われますが、特に「人」は、企業努力+ご縁の賜物なので一筋縄ではいかぬものなのです。

 (リッツMC代表取締役社長兼女性バス運転手協会代表理事)

 
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