【交通トレンド分析94】JAL国内線仕様B777、突然の全機退役 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗

  • 2021年4月13日

 約25年間にわたりボーイング(B)747型機(ジャンボ機)の後継機種という位置付けで飛び続けたB777型機。現在、JAL、ANAの国内線に投入されているB777―200型機、777―300型機は、P&W社(プラット&ホイットニー社)製のエンジンを搭載しているが、昨年末からのエンジン不具合で2月22日から日本国内での運航を停止している。

 運航停止に踏み切ったのは、アメリカ・デンバーで離陸直後のユナイテッド航空機でのエンジントラブルだった。片側のエンジンが燃え、緊急着陸ができたことでケガ人などは出なかったが、その衝撃的な映像が世界中に流れ、P&W社のエンジンを搭載したB777型機の全てで運航停止となった。JALも昨年12月に那覇空港でエンジン不具合による重大インシデントとなるトラブルが起きている。2月22日の時点でJAL機では777―300型機が4機、777―200型機が9機の合計13機、ANA機ではB777―300型機が5機、777―200型機が14機の合計19機が運航できなくなった。4月5日時点では運航再開時期の見込みは立っていない。国際線ではJAL、ANA共にGE社製のエンジンを搭載しており、影響は出ていない。

 このような状況の中で4月5日にJALから驚きの発表があった。現在、B777型機の後継機として、エアバスA350型機を国内線に順次導入しているJALだったが、21年度中に退役する予定だった7機を経済性の観点から20年度中に退役させたことを明らかにしたのだ。すでに20年度に6機を退役させていることからJALのB777型機の国内線仕様機は全機退役となった。今でこそ、エアバスA350型機、B787型機、B767型機の一部に国内線ファーストクラスが設定されているが、07年12月に最初に国内線ファーストクラスが設定されたのがB777―200型機であり、白い高級感溢れるレザーシートは大きな注目を集めた。また、JALと経営統合した旧日本エアシステムのB777―200型機では、現在のJAL「クラスJ」に近い「レインボーシート」「スーパーシート」が搭載されていたことも懐かしく思う人もいるだろう。ANAでは今後も国内線で飛び続ける可能性が高いが、JALのB777型機は国際線仕様機のみとなり、ラストフライトが実施されない少し寂しいお別れとなってしまった。ただ国際線の運休便が多いことで、当面は国際線仕様のB777型機がJAL国内線に投入されることになり、しばらくは国内線で乗ることは可能だ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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