3月28日(日)は半年に1度の航空会社のダイヤ改正の日だった。国内線、国際線ともに3月の最終日曜日と10月の最終日曜日が新しい運航ダイヤでのスタートとなっている。新型コロナウイルスの影響もあり、新規就航路線が少ない中、3月28日に九州を拠点とするソラシドエアが羽田―那覇線を1日3往復で新規就航した。これまでは繁忙期に臨時便としてこの路線を運航した実績はあるが、今回は定期便として1日3往復を運航することになった。さらに那覇―石垣線も従来の1日1往復から3往復に増便し、首都圏在住者が沖縄や石垣島へ向かう際の新たな選択肢となった。
羽田―那覇線は、ANA、JAL、スカイマークの3社が既に就航しており、ソラシドエアの就航で4社が就航する激戦路線となる。ソラシドエアは他の路線同様にANAとのコードシェア便となっており、ANA便名の航空券でも利用可能であることから、ANA利用者は羽田―那覇線で実質的に利用できる便が増えた。
筆者は3月28日の羽田発那覇行きの初便に搭乗したが、春休み中で緊急事態宣言も解除されたことから多くの観光客がこの便を利用して那覇へ向かっていた。9割近い搭乗率で、幸先の良いスタートを切った。午前10時前に那覇空港に到着したが、日曜日の午前中にも関わらず到着便、出発便共に那覇空港のターミナル内に利用者が多くおり、若い人や家族連れが特に目立った。今回ソラシドエアを注目した理由について、ANAやJALに比べると運賃水準も安く、搭乗する日や便によってはスカイマークよりもお得に利用できるケースが多いからだ。多くの旅行者はソラシドエアが羽田―那覇線に就航していることを知らないことから、意外なくらいにお得な運賃が販売されている。3月29日現在、5月のGW後の運賃を確認してみると早割タイプの航空券で、多くの日で片道1万円以下にて購入できる。最安運賃は片道6500円で、LCCよりも割安に乗れてしまうこともあるのだ。座席も快適で足元も全ての席で一般的な普通席よりも広く、機内Wi―Fiが使えない点以外は快適である。機内ドリンクも充実しており、特にソラシドエア名物のアゴユズスープは人気だ。ソラシドエアは九州への路線というイメージが強いが、最近では沖縄発着路線にも力を入れており、九州と沖縄を拠点とした航空会社を目指しているようだ。
首都圏から沖縄へ出かける際には、ソラシドエアのホームページで運賃をチェックしてみてはいかがだろうか。想定外の安さでしばらくは利用できそうだ。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)