【交通トレンド分析92】緊急宣言終わり、解除初日から利用者が戻り始める 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 首都圏1都3県の緊急事態宣言が3月21日で終了した。Go Toトラベルキャンペーンの再開はしばらく先になることが確定的になっているが、解除した翌日の3月22日(月)に私は羽田空港の第1ターミナル、第2ターミナルで取材をしていたが、明らかに利用者が回復傾向にあることを感じた。

 ANAでは3月22日はANA国内線全体で約5.5万人の利用があり、先週までの緊急事態宣言中と比べて約2倍の予約になったそうだ。26~28日までの週末は1日7万人の利用者がANA国内線を使う予想になっている。JALでも22日は約4.5万人の利用があった。それでもまだ一昨年と比べると約半分の水準とのことだ。まだまだ完全復活には程遠く、4月の運航率は3月22日時点でANAでは62%、JALグループでも65%の計画となっており、まずは2年前の同月比と比べて5割の水準まで戻すことが最初の目標となるだろう。Go Toトラベルの利用者が多かった10月から12月中旬ぐらいにかけては前年比5割まで国内線利用者が回復していたが、第3波の襲来によって回復ペースは鈍化し、前年比の2~3割程度の利用者に再び下がってしまった。

 新型コロナウイルスの影響が出始めた昨年3月以降、記者という立場において、前年と比べてどのくらいの利用者が減っているのかという、対前年比で影響の大きさを記事でも書いてきたが、影響が1年以上に及んだことで、今年の3月からは2年前の2019年との比較においての数字を出すことになる。そして記事の内容によっては、コロナ前である2年前、そしてコロナ禍に入った1年前の数字の両方を比較しながら、利用者数の推移を見ていくことになる。東京オリンピック・パラリンピックにおける海外からの観光客受け入れは見送られることとなり、2021年は日本の観光は日本国民によって支えられることになるだろう。

 春休み期間は、Go Toトラベルは再開されないが、年末からステイホームが続いた反動もあり、リゾート地や温泉地など宿泊施設の予約も堅調に推移している宿もある。Go Toトラベルが仮に3月22日から解禁されていた場合、飛行機も新幹線も宿泊施設も相当な予約が入った可能性が高かったが、先延ばしされたことで政府の分科会の尾身会長が発言されていた「そろりそろり」の回復ペースに結果的になっている。

 さらなる感染者数減少になった段階までしばらく時間はかかるが、感染者が減ってからのGo Toの再開に期待したい。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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