3月7日で終了する予定だった緊急事態宣言が首都圏の1都3県に限って2週間延長され3月21日までの延長が決まった。Go Toトラベルキャンペーンも緊急事態宣言終了後もしばらくは様子を見るという方針が明らかとなり、春休み中の再開はほぼなくなったと言っても良いだろう。このような状況の中で直前まで予定が決まらないことで国内線を運航する各社は、減便の判断が難しい状況となっている。
その理由としては、従来の緊急事態宣言であれば多くの旅行者や出張者が飛行機の利用を手控えていたのであったが、2月8日以降、2回目の緊急事態宣言が最初に延長になって以降、今までの緊急事態宣言中にはなかった動きとして、ビジネス出張も一部再開したほか、旅行者においても安全を最大限配慮した上で飛行機での旅行に出かける人も一定数出てきた。特に北海道方面においてはスキーシーズンであり、今年は外国人観光客も少ないことで快適にスキーやスノーボードを楽しめることから、減便せずに運航している便においては週末を中心に満席で出発する便も出ている状況にある。
2回目の再延長をした3月8日以降においては、緊急事態宣言解除を見越してすでに旅行の予約をしていた人もおり、今回の再延長でどの程度の人が旅行を取りやめるのかという判断も難しい状況となっている。1月8日から緊急事態宣言が始まった段階では、遅くても春休みには国内旅行に出かけられると思っていた中で、首都圏においては2度の延長となり、春休みの旅行においても出かけるか否かの判断を迫られることになっている。特にスカイマークは、レジャー需要の比率が高いことから、緊急事態宣言が明ければ、利用者は回復するという想定で3月9日以降の国内線全便を運航することを発表していたが、今後緊急事態宣言が延長になったことでどのような対策を取るのか注目される。またANAやJALにおいても追加減便をするかどうか判断されるだろう。仮に3月21日に緊急事態宣言が解除された場合も、緩やかな回復を考えている政府方針もあり、春休みの旅行動向が全く読めなくなってしまった。航空会社にとって急な減便をすることは、お客さまにとっても迷惑をかけるだけでなく、機材繰りや乗務員の調整などさまざまな作業が必要となり、急な社会状況の変化に対応することは難しい状況にある。
航空会社、鉄道会社、旅行会社、宿泊施設など全ての観光関連業において、これまでで一番、利用者の動向が読めない春休みとなりそうだ。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)