2月13日土曜日、午後11時過ぎに東北地方で最大震度6強の大きな地震が発生した。揺れは広範囲に及び私が住んでいる東京都内も震度4の揺れとなったが、幸いにも死者が出なかったことは、耐震に対する備えなど2011年の東日本大震災での教訓が生かされたことだろう。そのような状況の中で、東北新幹線の新白河―古川駅間を中心に電柱などが破損したことで、地震発生直後から那須塩原駅―盛岡駅間で運休が続いた。普段は東京駅から仙台駅まで「はやぶさ」に乗車すれば約1時間半で行くことができるのだが、新幹線が動かないことで、移動手段としては東北自動車道経由の高速バスで6時間以上かけて移動しなければならない状況となっていた。
そこで迅速に動きを見せたのがANAとJALの国内航空会社2社だ。地震発生翌日には臨時便の運航を開始した。2月15日には、ANAが羽田―仙台、羽田―福島、羽田―秋田の3路線、JALが羽田―仙台、羽田―花巻、羽田―青森、羽田―秋田、羽田―山形、伊丹―仙台の計6路線で臨時便を設定したが、通常では運航されない路線では、羽田―仙台線でANAは14日の夜に1往復、15日に3往復、JALは15日に3往復を運航したほか、ANAは羽田―福島線で15日に1往復、またJALは羽田―花巻線(盛岡方面に便利な)で15日に2往復を運航した。臨時便や機体の大型化は東北新幹線の運転再開まで継続される予定となっている。
普段であれば新幹線で簡単に行けてしまう場所であるが、東北新幹線が利用できないことで不便な状況となった。そこで、飛行機の臨時便が設定され、国内線としては近距離となる羽田から福島、仙台、花巻などへの路線が運航された。新幹線に比べると空港のチェックインや乗り換えなどで時間を要することになるが、高速バスに比べると圧倒的に時間は早く、体の疲れも少ないなど、日帰りで首都圏から東北方面へ向かう場合に特に重宝されることになった。これがまさに公共交通機関としての使命を果たした行動であり、土曜日の夜に地震が発生し、航空会社の路線担当者は、日曜日に休日出勤をして臨時便の設定や機材繰りなどを調整していたことだろう。
現在、新型コロナウイルスの影響によって航空会社の経営が厳しい状況になっているが、交通インフラの確保は必要不可欠であり、迅速な対応ができる公共性の高いANAやJAL、そしてJR各社は国としてしっかりサポートすべきであると今回の迅速な臨時便の設定を見て改めて感じたのであった。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)