【交通トレンド分析85】ガラガラの状態が続く新千歳空港 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 新型コロナウイルスの第3波による緊急事態宣言発令で国内の観光地における旅行者が急激に減少している中、北海道の空の玄関口である新千歳空港も閑散としている。

 私はAIRDOの取材があったこともあり、1月19日に羽田空港から新千歳空港へ向かった。飛行機も空席が多く目立っていたが、それ以上にいつもはにぎわっている新千歳空港のお土産店も閑散としており、一部のお店では営業時間を短縮して営業していた。新千歳空港で人気のJAびえいの「コーンぱん」も全く並ばずに購入することができたほどだ。新千歳空港発の国際線については昨年3月以降全便運休が続いており、現時点では運航再開の見込みが立っておらず、近年急激に伸びていた冬のアジアを中心とした北海道のインバウンド需要も全く見込めない状況にある。2月に入り、ANA、JAL、AIRDO、スカイマークなど北海道へ路線を運航する各航空会社はさらなる追加減便を発表し、特に日中時間帯の運航便数が大幅に減少している。その背景には、緊急事態宣言発令後は特にビジネス出張が完全に止まったことが大きい。

 訪日外国人の増加に伴い、JR北海道では昨年3月のダイヤ改正時に新千歳空港と札幌駅を結ぶ快速エアポートを大増発し、1時間に4本体制だったものを5本体制に増発した。15分間隔から12分間隔に運転間隔を短くしたことで利便性は大きく向上した。だがダイヤ改正とともに新型コロナウイルスの影響が出た。

 私も今回、新千歳空港から札幌駅まで指定席「uシート」を利用したが、一つの車両に数人の利用者しかおらず、4月上旬に利用した時もそれに近かったが、改めて旅行者も出張者もわずかであることを実感した。もちろん札幌市内も閑散としており、一部のホテルでは一時休業しているなど、歩いているだけでも街が活気を失っていることを実感した。特に札幌市においては、11月から感染者が増えたことにより札幌市内の飲食店に対して早い段階で時短要請が行われたことで、観光における第3波の影響は他の地域に比べて1カ月早く、影響がより深刻になっている。さらに昨年はギリギリで開催できた札幌雪祭りも今年は中止することになり、いつもはにぎわう2月の北海道の集客は厳しい状況が続く。

 北海道はお土産の宝庫で新千歳空港のお土産店でお菓子や海産物を購入する旅行者も多いが、この状態が続くことになれば、お土産店だけでなく、製造するメーカーも厳しい状況が続くことになる。まずは国内需要だけでも回復することを願うばかりだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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