【交通トレンド分析83】緊急事態宣言で交通利用者がさらに減少 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 1月7日(木)に緊急事態宣言の再発令が決定し、1月8日(金)から2月7日(日)までの1カ月間の予定で東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の1都3県を対象にスタートした。Go Toトラベルは12月28日(月)から1月11日(月)まで全国一時停止となったが、今回の緊急事態宣言再発令によって全国全てで少なくとも2月7日までは停止が続くことになった。

 私は、再発令初日となる1月8日(金)、そして3連休初日の9日(土)の午前中に羽田空港で取材をしたが、国内線利用者が大きく減っていることは目に見えて明らかであった。8日(金)は普段は多く見られるビジネス出張者の姿が特に減っており、それでも4、5月の最初の緊急事態宣言中に比べると空港利用者の姿は多かったが、9月の4連休以降から続いた人出から比べると閑散とした空港に逆戻りした。私の肌感覚にはなるが、前回の緊急事態宣言が解除された翌月の6月に近い利用者の数に思えた。9日(土)の3連休も利用者の数は少ないが、Go Toトラベルは利用できないが、そのまま予定通りに旅行に出かける一部の旅行者や年末年始を外して帰省する人の姿が見られた。年末年始もGo Toトラベル全国一時停止によって利用者は減少したが、それ以上に3連休の利用者は減少した。

 目に見えて利用者が減少していることで国内線を運航する各航空会社では追加減便を相次いで発表。ANAでは1月8日に1月15日(金)~31日(日)の追加減便を発表し、新たに60路線、2698便の減便となり、当初は77%の運航率を56%に引き下げた。またJALも1月8日に1月13日(水)~31日(日)の追加減便を発表し、新たに71路線、3567便の減便で運航率は56%となった。JALでは1月全体での運航率を当初の74%予定から60%に引き下げた。

 新幹線でも利用者は大きく減っており、特にビジネス出張者が減ったことで利用者が減少している。東海道新幹線では利用者が減少する一つのバロメーターとして臨時列車の運転を取りやめる対応がある。1月8日にJR東海は、1月18日(月)から2月28日(日)までの全ての臨時列車の運転を取りやめ、この期間の1日当たりの平均列車本数を当初の1日当たり345本から309本に変更する。約1割減る計算となり、1時間当たり「のぞみ」が4~6本、「ひかり」が2本、「こだま」が2~3本となる。緊急事態宣言期間中は顕著にビジネス需要がなくなり、旅行需要も多くは望めない。

 回復までにはまだ時間がかかりそうだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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