
各航空会社は12月18日に年末年始期間(12月25日~1月3日)の予約状況を発表した。28日(月)からのGo Toトラベル全国一時停止(1月11日)が12月14日の夕方に突如発表されたことでキャンセルが相次ぎ、ANAでは予約数が前年比57.6%の約80.1万人(予約率46.7%)、JALでは前年比48.5%の約51.2万人(予約率40.9%)となり、半分以上の便が5割以下の予約しか入っていない状況になり、感染拡大が続くとさらにキャンセルが増える可能性も考えられる。その中でも沖縄方面の便だけはANAで73.2%、JALでは52.8%と他のエリアに比べると利用者がやや多い傾向にある。ピーク日は例年よりも早く、下り便は12月26日(土)がピークで、上り便は1月3日(日)がピークとなる。昨年はピーク日の予約率が9割を超えるが、ANAの数字を見ると、12月26日の下り便で72.8%、1月3日の上り便で75.8%の予約率にとどまっている。
10月の段階では各航空会社では年末年始の国内線は前年比8割~9割の水準まで戻ることが想定され、提供座席数も9割程度にまで戻していた。今回の年末年始は海外旅行が難しいことから、普段海外で過ごす人も国内のリゾート地や温泉地などへ出かけるべく、旅館・ホテルの予約も堅調で、国内旅行に期待する声も大きく、実際に国内線の航空券も順調に予約が入っていた。しかしながら、11月後半から新型コロナウイルスの感染者拡大に加え、35%割引+15%の地域共通クーポンで実質国から50%の支援が受けられるGo Toトラベルが年末年始期間に一時停止したことで、12月14日から18日までの5日間でも相当数のキャンセルが入ったようだ。
万が一、旅行を取り止める場合は、JALでは2021年3月27日までの航空券(ウルトラ先得、スーパー先得、先得割引、特便割引など)については払戻手数料の440円のみでキャンセルが可能になっている。また、ANAでは払い戻す場合に通常の取消手数料がかかるが、変更する場合には変更後の運賃との差額調整のみで変更可能といった対応をしている。航空券のみの場合、元々Go Toトラベルの割引対象になっていないことから、今回のGo Toトラベルにおけるキャンセル料免除の対象にはならないが、旅行者の中には全額免除と思っているケースもあり、航空会社に問い合わせする旅行者も出ているそうだ。
年末年始期間の航空券価格も大きく下落し、割引運賃での購入も年末年始1週間前でも可能となっているなど、明らかに例年と異なる年末年始になる。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)