【交通トレンド分析70】国内航空6社合同見送りで見えた一体感 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 少しずつではあるが国内線の利用が戻りつつある中、日本各地の空港では普段はライバル関係である航空会社同士が手を結んで合同でお見送りする光景が多く見られるようになった。特にANAとJALが一緒にお互いの航空会社の便を見送る姿には驚いた。私自身は8月26日に成田空港でANAとJALの2社が国際線の便を一緒にお見送りする姿を取材させていただいた。

 成田空港ではANAが第1ターミナル、JALが第2ターミナルを使用していることからお見送りに参加したスタッフも同じ空港内でも初めて立ち入る場所でもあり、新鮮な気持ちになるそうだ。また、新型コロナウイルスで利用者が大幅に減少する中、垣根を越え航空業界として航空会社に関係なく飛行機を利用していただく方に感謝の気持ちを込め、1日も早く各航空会社の便がコロナ前のような活気あふれる空港になることを望んでいた。

 そして9月26日には羽田空港でも合同お見送りイベントが実施された。ANAの羽田空港で地上業務を担当しているANAエアポートサービスが発案し、JAL、スカイマーク、ソラシドエア、AIRDO、スターフライヤーの5社も賛同した。私も羽田空港で取材をしてきたが、6社のそれぞれの便を各社2人ずつのグランドスタッフが一緒にお見送りした。普段同じ空港内で働いていても日頃は交流が少ないそうで、朝8時ごろから13時ごろまで6社6便のお客さまを一緒にお見送りすることだけでなく、貴重な交流の時間にもなった。参加したグランドスタッフからも「羽田空港で働く航空会社の社員が全社一丸になる機会になった」「他社と協力して感謝の気持ちを伝えられてよかった」と話すなど、航空業界が一体感を持って旅客需要の回復を願う機会となった。

 4、5月の緊急事態宣言中における国内線旅客数は前年同期比約95%減、お盆期間中で同約70%減、9月の4連休中でも同約40~50%減の状況であり、10月も9月に引き続いて約4割の便の運休を継続する。

 このような状況の中、10月1日には「Go Toトラベル」の東京都発着除外が解除されたことで、羽田空港発着の沖縄路線、北海道路線の予約が続々と入っているそうだ。コロナ前と異なる点としては、直近(2カ月以内)の予約が入る一方、12月以降の予約は少ない状況になっている。最近の傾向としては感染者数の推移を見ながら、感染者数が少なければ直前に旅行を計画し、増えれば直前キャンセルという流れであり、当面はその傾向が続きそうだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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