【交通トレンド分析7】顔認証ゲートで日本人の出入国がスムーズに 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 海外へ向けて出国、海外から戻ってきた帰国の際にこれまでは当たり前のように出国、入国のスタンプが押されていたが、法務省が進めている「顔認証ゲート」を本格導入したことで、羽田、成田、中部、関西、福岡の5空港から出入国する場合には、希望者を除いて原則は押されないようになった。顔認証ゲート導入前には指紋認証による自動化ゲートにより、事前に指紋を登録した人に限って利用可能であったが、顔認証ゲートは事前の登録は一切不要で、一人で機械の操作ができない場合や子供など身長135センチ以下の場合を除いては、対象5空港から出発、到着する場合には基本的に顔認証ゲートを利用するように空港で案内される。パスポートを旅券リーダにかざした後、顔撮影が行われるとゲートが開く仕組みになっている。初めてでも非常に簡単で時間をかけずに審査を終えることができるので、利用者からは好評だ。

 従来の指紋認証による自動化ゲートもそのまま運用されており、登録者はどちらを使っても特段問題はない。

 顔認証ゲートによる大きなメリットは、外国人の入国ブースに入国審査官を多く配置できるメリットがある。年間3千万人を超えるインバウンド(訪日旅行客)に各空港では対応できなくなっており、入国審査に1時間以上要することは珍しくない。実際に筆者が5月上旬に成田空港第1ターミナル南ウイングに15時前後のピーク時に到着した際には、日本人は顔認証ゲートでスムーズに通過できていたのに対し、外国人の列はあふれんばかりの人で、現在一部工事中の場所もあり、途中の通路も日本人が歩けないくらいの長い行列となっていた。

 政府もインバウンド増加へ向けて、今年1月からスタートした国際観光旅客税(いわゆる出国税)を創設し、ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備の一環として、顔認証ゲートの積極的な導入など出入国審査に税収の一部が使われる。私は真っ先に日本として取り組むべき問題であると思う。

 今後インバウンドに求められるのは「リピーター需要」。日本を好きになってもらって複数回、訪れてもらうことが重要になってくる。入国審査に時間を要するのはストレスでしかない。外国人からも千円を徴収していることを考えても混雑が解消するまでは重点的に予算を配分するべきだと思う。目標としては行列に並んでから30分以内で入国できるようになることだろう。関係者の努力は伝わっており、混雑解消へ向けて良い方向に進んでいることだけは間違いない。

(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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