8月1日から出されていた沖縄県の緊急事態宣言が9月5日をもって解除された。緊急事態宣言中に休業となっていた人気観光スポットの「美ら海水族館」も6日から営業が再開された。夏の観光シーズンの中心である8月全てが県独自の緊急事態宣言が発令されてしまったことで沖縄への観光客数が激減している。
6月19日に県をまたいだ移動自粛が解除されて以降、海外旅行へ出掛けられないことから沖縄への旅行を計画する人が増え、7月初旬までは航空会社やリゾートホテルなどでは順調に予約が入っていた。しかしながら、全国の感染者拡大、特に沖縄県で1日に100人を超える感染者数が出たこともあり、キャンセルが相次いだ。
私も7月23日からの4連休を使い石垣島へ取材、調査に出掛けていたが、4連休直前にキャンセルをした人も多く、ある程度の観光客がいるが飛行機も約8割の搭乗率となり大混雑という状況ではなかった。その後、8月1日に県独自の緊急事態宣言が発令されたことによりさらなる大量キャンセルに見舞われた。ここで特に大きな影響が出たのが航空会社だった。
6月以降、感染者数が減少していたこともあり、旅行需要の回復を見込んで8月の国内線は8、9割の運航を予定していたが、沖縄県の緊急事態宣言に加えて、東京都の小池百合子知事がお盆期間中に移動自粛要請を出したことでキャンセルが相次ぎ、お盆期間中の国内線全体でANAが前年比69.5%減、JALが同66.9%減となり、お盆以降、追加減便が相次ぎ、最終的に8月の国内線運航便数はANAで75%、JALで72%となった。
9月は夏の旅行シーズンが終わったこともあり、ANAでは53%、JALでも60%の運航率(9月6日現在)にとどまっている。特に羽田―沖縄線では8月は8割近い便が運航されていたが、9月に入ってからは両社共に半分近い便が運休となっている。搭乗率も半分程度の便が多いと関係者は話す。今後、感染者数が減少し、Go Toトラベルの東京都発着除外が解除されることになれば、10月以降の沖縄への観光客回復の可能性も期待されるところだ。例年に比べて、飛行機とホテルがセットになった「ダイナミックパッケージ」では、1泊2日で飛行機とホテル(那覇市内)がセットで2万円を切っているケースもあり、Go Toを活用することで1万2千円という破格の価格も出ている。
当面海外旅行が難しい中で、飛行機でしか行くことができない沖縄への旅行が復活することを特に航空会社は期待しているだろう。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)