【交通トレンド分析252】新幹線、飲み物も買えないことが増えた 鳥海高太朗


 東海道新幹線では、昨年10月31日をもって車内販売が終了し、「のぞみ」「ひかり」については車内販売に代わり、スマートフォンでオーダーする「モバイルオーダー」のサービスが開始された。しかし、対象となるのは「グリーン車」のみで、指定席や自由席からのモバイルオーダーは不可となっている。つまり、グリーン車以外に乗車する場合は乗車前に駅の売店などで購入する必要があるのだ。

 私は週1回、静岡でのテレビ出演があり、東海道新幹線「ひかり」「こだま」を利用しているほか、名古屋、京都、新大阪まで「のぞみ」を利用することも多い。そのなかで感じたことは、「こだま」については早い段階で車内販売のサービスを終了しているが、停車駅の多くで「のぞみ」「ひかり」の通過待ちがある関係で、数分~5分程度停車することで、少なくても飲み物は通過待ちの間にホームの自動販売機で購入することができるので、それほど不便になることはない。また「ひかり」でも、途中駅で「のぞみ」の通過待ちがあるので、通過待ちがある駅で購入可能だ。

 問題は「のぞみ」である。最も早く目的地に到着できる速達性があり、後続列車の通過待ちはなく、各停車駅では最低限の時間しか停車しない。もちろん乗車前に時間の余裕がある時には駅の売店や自動販売機などで購入しておけばいいが、状況によってはギリギリで乗車することもあるが、グリーン車に乗車していない限り、乗車後に飲み物、食べ物の購入は不可となってしまう。

 私も時々グリーン車を利用することもあるが、モバイルオーダーは簡単で、支払いは従来と変わらず、商品を受け取る際に現金もしくは交通系ICカードで支払うことになる。これは個人的に思うところであるが、人員確保が難しい可能性もあるが、指定席・自由席利用者もモバイルオーダーを使えるようにして、グリーン車以外は数百円のデリバリー料として追加料金を徴収したらいいのではないかとも思う。新幹線車内で自販機もない以上、どうしても車内で買いたい時にだけでも買えるとありがたいと思う。

 それ以外でも先日、北陸新幹線「かがやき」の始発列車で福井から東京へ向かった際、新幹線に乗ってから「この列車の車内販売はございません」というアナウンスがあった。車内販売でコーヒーを飲もうと思っていたので、買えずに残念だったが、本来車内販売があると思っていた新幹線で買えない時もあるようで、改めて新幹線の車内販売について考える時間になった。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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