10月の3連休、台風19号が首都圏に直撃した。国内の各航空会社では異例の体制をとった。
これまで台風が首都圏に接近しても、終日欠航というのはほとんどなかったが、今回はANAが12日の羽田・成田発着の国内線全便、JALも朝便の一部を除いてほぼ全便を欠航し、国際線も一部便を除いてほぼ欠航となった。
加えて台風通過後の13日も羽田空港発着の国内線は午後3時ごろまで欠航が続き、国際線については羽田空港、成田空港ともに、翌日13日もほとんどの便が欠航となった。
今回、台風が首都圏を直撃する前の早い段階で台風通過後の欠航を決めた航空会社が多かった。その理由としては9月の台風15号が首都圏を直撃した際に、空港機能が復活したが成田空港を中心に地上交通機関が完全麻痺(まひ)したことにより、空港ターミナル内に到着客の多くが脱出できない状況になったことが背景にある。
最悪の状況を考慮して今回は、鉄道の計画運休が実施される直前に「着陸制限」を発令し、成田空港では12日の午前11時、羽田空港では12日の午後2時から旅客便の着陸を制限した。当初は、台風通過後も鉄道アクセスの運休が見込まれることから翌日のお昼ごろまでの着陸制限が予定されていたが、都心および千葉方面の被害は少なく、羽田空港、成田空港ともに午前中のうちに空港への鉄道アクセスが再開したことで、朝の段階で着陸制限が解除された。
想定よりも早く着陸制限が解除されたことは良かったが、天候が回復しているのにも関わらず、羽田空港および成田空港からの国際線の多くが終日欠航になってしまったことで、多くの外国人観光客が空港で足止めされることになってしまった。
避難させていた機体を羽田空港や成田空港に戻すことで運航が可能な便もあったと思うが、今回はそれ以上に、昼過ぎまでは地上交通機関が運休するという見込みの状況を踏まえて早い段階で欠航を決めていた。この判断は非常に難しいことだと改めて感じた。
前回の台風15号のように運航予定になっていても鉄道アクセスが不通になったことで、飛行機に乗れなかったケースもあれば、今回のように事前に欠航にしていたが被害が少なかったことで本来飛べたはずの飛行機が飛べなかったといったケースもある。
今回、最も振り回されたのは間違いなく外国人観光客だろう。台風が通過すれば飛行機も飛ぶと思って空港に来たものの搭乗予定便が欠航となってしまい、そのまま空港で一晩過ごす人も多く見られた。
改めてこの判断は非常に難しいものであることを実感させられた。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)