【交通トレンド分析163】西九州新幹線、嬉野温泉への増客の可能性 鳥海高太朗


 9月23日、念願だった西九州新幹線が開業した。佐賀県の武雄温泉駅から長崎駅までの部分開業で約66キロの区間を最速で18分で結ぶ。

 博多方面からは、特急「リレーかもめ」を利用して武雄温泉駅での乗り換えとなる。今回の開業により、博多駅から長崎駅までが最速で1時間20分で結ばれることになる。従来の特急列車利用に比べて30分短縮されることとなったほか、博多からも気軽に日帰りで長崎に行くことが可能となった。そして、博多から「リレーかもめ」を利用する場合は、武雄温泉駅では同じホームで新幹線に乗り換えられるように工夫されている。

 武雄温泉と長崎の間には途中三つの駅が設置され、嬉野温泉駅、新大村駅、諫早駅に新幹線が停車する。私は9月14~16日まで仕事で長崎県・佐賀県を訪れた。諫早駅を除く四つの新幹線停車駅をレンタカーで巡ったが、その中で新幹線の恩恵が受けられる観光地はどこであるか考えてみたが、長崎駅に次いで嬉野温泉駅に注目をしてみた。

 嬉野温泉駅は、新幹線の始発駅となる武雄温泉駅からわずか6~7分の乗車時間であっという間であるが、今までは車(長崎自動車道)でのアクセスは近くにある嬉野インターを使うことで便利だった。鉄道でのアクセスは武雄温泉駅からバスなどで移動しなければならなかった。しかし、今回は新幹線が停車することで、温泉街まで車で5分弱で行くことができるようになった。博多方面からだと武雄温泉駅でいったん乗り換えをしなければならないが、博多からのアクセスが非常に向上するとともに、わずか6分程度とはいえ、新幹線にも乗ることができる。

 有名温泉地に駅ができるメリットは非常に大きく、今回、新幹線開業前であったが私も実際に久しぶりに嬉野温泉に足を運んでみた。スケジュールの都合で宿泊はできなかったものの、日帰り温泉でゆっくりすることができたが、改めて泉質も素晴らしく、心ゆくまで堪能することができた。車がなくても嬉野温泉へ気軽に行くことができるのは温泉が好きな人にとっては朗報であり、久しぶりに新幹線開業を機に訪れたいと思う観光客も増えそうだ。

 今回の西九州新幹線は部分開業となるが、全線開業には新鳥栖―武雄温泉駅の区間を整備しなければならないが、ルートも確定できていない。佐賀県の費用分担などの問題も解決しておらず全線開業時期は見えていないが、少なくても佐賀県にある嬉野温泉は新幹線の恩恵を受けることは間違いなさそうだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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