【交通トレンド分析159】今夏も大きな壁になった帰国前のPCR検査 鳥海高太朗


 今年の夏休み、3年ぶりに海外旅行へ出かけた人の姿が羽田空港や成田空港などで見られた。昨年との大きな違いについては、行ける国の違いだ。昨年は、欧米などに限って渡航できたが、今年は欧米に加えて、東南アジア、オーストラリア、ニュージーランドなど渡航できる国が大きく増えた。

 現時点で日本人の観光目的での入国ができないのは、中国、香港、マカオ、台湾など数える国と地域になっている。韓国も春までは観光目的での入国ができなかったが、6月からビザ取得を条件に日本人の観光目的での韓国入国が可能となり、さらに8月4日からは期間限定という形だがビザなしでの渡航(ただし電子渡航許可の申請は必要)が可能となった。ただ韓国は日本出発前、韓国到着後のPCR検査が義務付けられている。

 このような形で渡航できる国が増える中で、ハワイは家族連れを中心にお盆期間中はコロナ前に比べると飛行機の便数は少ないが、どの便も8~9割近い搭乗率になった。私自身は、昨年8月のお盆期間中にハワイへ渡航したが、その際には出発前日もしくは当日のPCR検査もしくは抗原検査の陰性証明書とワクチン接種証明書が必要だった。今年はワクチン接種証明書のみ(2回接種以上)で入国が可能となり、出発直前の手間が軽減された。ハワイを含むアメリカへの渡航時は、大人については特別な事情がない限りは新型コロナウイルスのワクチン接種2回以上が現在でも入国要件となっている。一方、ワクチン接種をしていなくても入国可能な国もあり、イギリスやフランス、イタリアなどは未接種でも入国できる。

 このような状況の中、今年の夏の全ての日本人海外旅行を苦しめたのは、帰国前に現地出発72時間以内に受けなければならないPCR検査。検査の時間を割かなければならず、ハワイやバンコクなどでは一部日本語で検査できるが、基本的には英語もしくはその国の言葉で対応しなければならないが、この帰国前の検査で陽性になる人が増えており、短い人で5日間、長いと2週間以上帰国できないこともある。もちろん発熱時は飛行機に乗ることは控えるべきだが、例えば抗原検査キットでの自主チェックなどに変更してもいい時期に来ているのではないかと思う。また、8月15日からは1泊や2泊の弾丸海外旅行時に日本出発前に帰国便出発72時間を切っていれば、日本でのPCR検査でも認められることになった。

 感染者数が減った段階で迅速にルール変更も含めて議論してほしいものだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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