【交通トレンド分析149】海外障壁減も、帰国前の現地PCR検査は継続 鳥海高太朗


 6月1日から水際対策が緩和され、ほとんどの国からの帰国において日本帰国時の空港での抗原検査が不要となった。一方、帰国前に現地を出発する飛行機の出発72時間以内のPCR検査は、引き続き全ての国からの帰国時に必須となっている。

 海外旅行者や海外出張者が増えつつあるが、万が一、現地で新型コロナウイルスに感染してしまった際にはリスクが伴う。特に、帰国前72時間前のPCR検査で陽性が出てしまった場合、サラリーマンなどにおいては仕事に穴を空けてしまう可能性があり、まだ時期尚早という声もある。それと同時に、帰国前のPCR検査は時間だけでなく、精神的、金銭的にも負担になっていると、最近の海外渡航者から聞かれる。

 時間的な負担については、PCR検査をする時間を旅行や出張中に割かなければならず、事前に予約も必要。予約の手間、検査当日にクリニックに足を運ばなければならないなど、数時間~半日をPCR検査のためだけに予定を空けなければならない。精神的負担については、旅行をしていても帰国前のPCR検査で陽性が出たらという不安が常にあり、PCR検査をして陰性の結果が出た瞬間の安堵(あんど)感が物語っている。

 また、ハワイなど一部を除き、ほとんどの都市で英語もしくはその国の言葉でPCR検査を受けなければならない。唾液で検査する国は少なく、基本的には綿棒を鼻の奥に突っ込まれる方式が主流であり、唾液に慣れている日本人にとっては不安もある。同時に日本政府が定める検査方法であるのかも事前に確認しなければならない。金銭的にも1~2万円程度(国によって異なる)のPCR検査費用がかかり、さまざまな負担が今の帰国前のPCR検査にはある。

 個人的な意見にはなるが、例えばワクチン3回目接種済みで、感染拡大をしていない国、地域などからの帰国時には、現地で帰国便出発72時間前にPCR検査をするか、もしくは現地でPCR検査を受けない人は帰国時の空港(羽田空港や成田空港など)で、従来は帰国者全員に実施されていた抗原検査を実施し、陰性を確認するのかのどちらか選べるようにすればいいと思う。日本の到着時の検査は費用が無料であり、結果が出るまで1時間近くを要するが、これで現地にて帰国する前にPCR検査を受けなくてもいいのであれば、私自身は帰国時検査を選ぶ可能性が高い。

 ぜひ、日本政府には検討してほしいが、実際に日本人の海外旅行の本格的復活には、帰国前のPCR検査が不要にならないと難しいだろう。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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