【交通トレンド分析126】オミクロン株の影響が読めない年末年始 鳥海高太朗


 オミクロン株の影響が国内旅行に影響が出るのかどうか見通せない状況になっている。11月24日に南アフリカで新型コロナウイルスの新たな変異株のオミクロン株が確認され、11月26日金曜日の夕方から感染拡大の懸念が日本国内でも大きく報道されるようになった。

 日本政府も11月29日に水際対策の強化を発表し、11月30日午前0時からは外国人の新規入国が停止され、感染が確認された国からの入国者に対して、強制的にホテル滞在となる指定施設待機措置として、日を増すごとに対象国、地域を拡大している状況にある。今回、岸田政権は水際対策において迅速な対応をしたといえる。何よりもオミクロン株の特性が把握できておらず、感染力の強さ、重症化するのか、ワクチン効果があるのかなどについて検証中であり、まずはオミクロン株の特性を見極める意味もあり、12月31日までの外国人の新規入国停止および感染が確認された国からの指定施設待機などの措置を取った。一時は日本人も航空券の予約をしていない場合に、航空券の新規予約を認めない方針が示されたが、邦人保護の観点もあってすぐに撤回されたが、1日に入国可能な人数について、11月26日に5千人に拡大されていたが、12月1日から再び以前の3千人に戻された。

 今回、厳しい水際対策に踏み切った背景には、日本国内の感染者数が緊急事態宣言解除後の10月以降も新規感染者数が減り続け、その状況が2カ月以上継続し、東京都内の感染者が1桁の日も出ていることもあり、国内経済への影響が出ないようにオミクロン株の流入を阻止したいという考えが強い。現状、国内旅行も回復傾向にあり、年明けには年末年始の感染状況を踏まえてGo Toトラベルの再開時期も発表される段取りになっているなかで、オミクロン株の流入を阻止できれば、海外渡航の復活時期が伸びても、国内旅行、特にこれからのクリスマスや年末年始の旅行や帰省が予定通りに国内線や新幹線などで出かけることができることになるが、もし市中感染が広がることになれば、移動自粛の可能性は否定できない。

 現状、オミクロン株の感染者であっても無症状や軽症者が多いという報道もある。重症化の状況なども踏まえた上での対策が求められることになるが、クリスマス前後あたりでオミクロン株の世界的な影響、日本国内の状況がどうなっているのかによって年末年始および年明けの国内旅行事情も大きく変わりそうだ。

 何とか早く沈静化して、Go Toトラベルの早期再開を望みたい。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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