【交通トレンド分析125】新幹線「のぞみ」、子ども実質無料の衝撃 鳥海高太朗


 東海道・山陽新幹線「のぞみ」は、来年3月に30周年を迎えた。また、JR東海、西日本の会員制ネット予約サービス「エクスプレス予約」が9月で20周年を迎え、このタイミングで感謝の気持ちも込めてのキャンペーンとして、11月24日から12月19日までの期間、「のぞみ」利用の「エクスプレス予約」(年会費が必要)および「スマートEX」(年会費不要)利用で、利用者全員が交通系ICカード(SuicaやPASMOなど)を使ったチケットレスでの利用を条件に、「子ども」の利用代金を後日全額キャッシュバックされるキャンペーンをスタートした。

 この中身が衝撃的である。大人も含めて合計6人までが対象となり、会員(大人)に加え、子ども5人の合計6人でも実質大人1人分の料金で済んでしまうのだ。

 こういったキャンペーンを実施する場合は、2親等以内の家族に限るなどルールを設けがちであるが、今回は利用者の制限はなく、会員である親が自分の子どもに加えて、友達の子どもを同伴させても問題なく、さらに言えば会員が複数人いれば、少年野球チームで遠征に出かける際に利用することも可能である。とはいえ、一番多く使われる可能性があるのは家族旅行や帰省だろう。12月19日までの設定になっているが、年末年始前の週末を使って短期間の帰省でも十分に使えることになる。

 具体的な割引額においては、年会費無料の「スマートEX」では東京駅―新大阪駅間が大人1万4520円、子ども7250円となっており、今回のキャンペーンを活用することで子ども分が後日キャッシュバックされる。往復利用だと、子ども1人当たり1万4500円安くなる計算となり、家族旅行の促進につながることは間違いないだろう。また、割引切符で多く見られる座席数の制限もないことから、指定席に空席があれば利用できる点も便利だ。さらに、普通車指定席だけでなくグリーン車まで対象となるのも驚きである。

 まだ会員になっていない場合は、登録に時間がかからない「スマートEX」会員にまずはなることで利用可能であり、登録には決済に必要なクレジットカード、また乗車時に必要な交通系ICカードが必要となる。今回のキャンペーンでは子どもも必ず交通系ICカードが必要で、持っていないとキャッシュバックは受けられない。

 コロナ禍で完全に乗客が戻っていないことで実現したキャンペーンであるが、家族旅行のきっかけになれば観光地にとってもプラスになるだろう。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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