【交通トレンド分析122】帰国時の待機10日に短縮、必用な手続きとは 鳥海高太朗


 私は10月9日から17日までの期間、ANAが成田―ホノルル線に投入している総2階建て飛行機であるエアバスA380型機(FLYING HONU)の3号機のデリバリー(エアバス社からANAへの引き渡し)の取材でフランスに滞在していた。

 ANAは、合計3機のA380型機を発注していたが、最後の3機目の受領となった。コロナ禍で8月のお盆期間に2往復だけ成田―ホノルル線に投入した以外は、成田空港で機内食レストランとして利用されたり、新千歳、那覇、そして10月30日には宮古島と橋(伊良部大橋)でつながっている下地島へのスペシャルツアーとして使われているなど国内での利用が中心で、入国制限が解除されて日本人旅行者のハワイへの需要が回復傾向になった段階でホノルル線への再投入を目指すことになる。

 入国制限については、日本帰国時の自主待機期間が日本人の海外渡航が戻らない最大の要因となっているが、私はコロナ禍で6月、8月、10月と海外取材で日本を出国。約1週間の現地滞在で日本に戻っているが、6月、8月は羽田空港に帰国し、唾液での抗原検査を受けてから陰性が確認され次第、入国することができた。

 その後はワクチン接種に関わらず、14日間の自宅もしくは自己手配での自主待機となる。10月以降はワクチン接種を2回終えて14日間以上が経過しており、ワクチン接種証明書のコピー(接種時にシールが貼られた日本語のみのワクチン接種証明でも可)を入国前の書類チェック時に確認できれば、10日後に街中にある指定のクリニックもしくは検査センターで抗原検査を受けて(検査のための外出は公共交通機関を利用しなければOK)、陰性証明を指定のホームページ上にアップロードすることで原則翌朝(11日目の朝)に自主待機(行動制限)が解除される。

 私も10日目に羽田空港第1ターミナルにある木下グループのPCR検査センターで抗原検査を受け、約30分後に結果が判明した。陰性だったことで陰性証明書をその場で受け取り、スマートフォンで陰性証明書を撮影して指定のサイトにアップロードすると、約30分後に翌日に隔離が解除されることの通知画面が届き、晴れて10日目の24時で自主待機は終了となった。現状、欧米など隔離なしで入国できる国が増えている一方、日本帰国時のワクチン接種者の自主待機を10日間にする意味は感じられない。

 海外ビジネスでの影響も考慮し、ワクチン接種2回接種者の自主待機を3日ないし5日に短縮し、帰国前の現地でのPCR検査も不要にすべきだろう。

(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 

 
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