【交通トレンド分析107】羽田空港の五輪専用入国レーンとは 鳥海高太朗


 東京オリンピックの開会式が7月23日に迫るなか、選手や大会関係者、メディア関係者などの入国が日増しに増えている。バブル方式で一般旅客とは完全に分けるとの方針が示されているなか、今、どのような状況になっていたのか、五輪関係者レーンの運用が始まった直後の7月4日に筆者がハワイから羽田空港に戻ってきた際に見た光景について触れたいと思う。

 まず飛行機が着陸した後に機内アナウンスがあり、飛行機を降機する順番についての説明があり、3段階に分け、最初に国際線同士の乗継乗客、次に日本に入国する一般乗客、最後にオリンピック・パラリンピックの大会関係者の順となっていた。

 五輪関係者も一般旅客が降りた後に飛行機から降りることになるが、通路をしばらく歩くと、一般乗客とオリンピック・パラリンピック関係者を分ける場所があり、ここから導線が変わることになる。

 標識に沿って進むことになるが、その後はロープ1本で分けられ、左側が一般の乗客、右側が大会関係者の導線(通路)になる。バブル方式という言葉とは程遠く、同じレーンを歩かないといった程度の分け方だ。

 まず、五輪関係者は五輪関係者専用アプリ「OCHA」(五輪関係者の日本入国手続きの効率化、日本国内滞在中の日々の健康状態の登録などをサポートする機能が搭載されたスマートフォンアプリ)を確認したあと、陰性証明書の提出、質問票や誓約書、健康カードなどの確認を終えた後に抗原検査のための唾液採取と続く。

 次に、アプリの動作確認や質問票の確認などの作業を終えて、本来は五輪関係者専用の待機場所で抗原検査の陰性確認を待つことになっていたが、7月7日以降はアスリートなどについては検査結果を待たず、入国審査に進む運用に変更されている。陰性が確認されるまでは空港から外には出さない運用にしているとはいえ、不安を持たざるを得ない運用だ。

 その後、入国審査の手前の検疫ブース前に設置された大会関係者専用のオリンピック・パラリンピックのIDを有効化する「PVC有効化カウンター」が設置されており、ここでID関連の手続きが行われていた。最後に、一般旅客と交わらない形で入国審査、税関検査を済ませて到着ロビーに出る。便宜的に一般旅客と分けている感じではあったが、コロナ対策のバブル方式とは言えない分け方だった。

 今後、五輪関係者の入国者が相次ぐなか、日本人が不安に思わない形で運用してほしいところだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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