国内では6月末までに1億4千万回(7,000万人強分)のファイザー製ワクチン接種も予定されている他、その後もモデルナ製ワクチンやアストラゼネカ製ワクチン接種が予定されています。海外に目を向けますと、3月末時点で既に5億回以上のワクチン接種が進んでいる他、ワクチン効果についても、イスラエルにおいて90%以上の有効性が報告された他、12歳から15歳のワクチン接種効果は100%との報告も出ています。いよいよ2021年度、観光再開に向けた準備を進めるときとなりました。ただし当面は、コロナ禍が終息するまでの間、引き続き新型コロナウイルス感染症対策の徹底が求められます。感染症対策には、万一罹患者が発生した際の迅速な対応を含みます。以下では、感染症に関する定期訓練に関する調査や罹患者発生時における情報発信に関する調査結果をご紹介します(2021年3月、全国200名に対するインターネットアンケート調査、弊社調べ。)。
感染症対策用の定期訓練を実施している施設について、顧客側の意識調査を行った結果、感染症対策定期訓練を実施している施設としていない施設とを比較した場合の顧客ニーズ調査を行いますと、合計で70.5%(強くそう思う24.5%、そう思う31.5%、ややそう思う14.5%)の回答者から定期訓練開催施設が支持されているという結果でした。
どれほどの周期で感染症対策定期訓練を求めているのかを見てみますと、2カ月に1度以上が60.3%、4か月に1度が14.9%、半年に1度が19.1%という結果でした。
さらに、万一宿泊施設内で「顧客」からの罹患者が判明した際の情報発信について調査した結果、迅速な対応を求めていることが窺えます。情報発信や公表情報が不十分な場合、67.5%(強く不安で使用を躊躇26.5%、不安で躊躇24%、やや不安でやや躊躇17%)の回答者は今後の使用を躊躇すると回答しています。一方で、迅速に対応し適切に情報発信した宿泊施設に対しては、70%(強く安心し使用してもよい16%、安心で使用してもよい34%、やや安心で使用してもよいとやや思う20%)が今後も使用してもよいと回答しています。
次いで、「スタッフ」に罹患者が発生した場合についても同様に調査してみました。調査の結果、情報発信や公表情報が不十分な場合、73.5%(強く不安で使用を躊躇34%、不安で躊躇22%、やや不安でやや躊躇17.5%)が今後の使用を躊躇すると回答しています。また、迅速に対応し適切に情報発信した宿泊施設に対しては、66.5%(強く安心し使用してもよい14.5%、安心で使用してもよい32%、やや安心で使用してもよいとやや思う20%)が今後も使用してもよいと回答しています。
スタッフからの罹患者発生は、顧客から発生した場合よりも一層、神経質になっています。従いまして、アルバイト・パートスタッフを含め、健康管理の徹底が求められる他、万一罹患者発生時においても、事前にどのような情報を発信しどの媒体から公表するのかを含め事前準備が求められます。
一般社団法人観光品質認証協会 統括理事
㈱サクラクオリティマネジメント 代表取締役
㈱日本ホテルアプレイザル 取締役
不動産鑑定士,MAI,CRE,FRICS 北村 剛史