
北村氏
前回は昨年の4月7日から、5月25日まで緊急事態宣言が発出されました。弊会では前回の緊急事態宣言期間中に、全国10,000名を対象にインターネットアンケート調査により、どれほど「観光に行ってもよい環境になれば旅行に行きたい」と考える人がいるのかを調べました。その後国内第三波の感染拡大に伴い、今回2回目の緊急事態宣言が発出されました。今回も前回とまったく同じ内容で同様の旅行マインド調査を行いました。前回2020年5月調査では、「観光に行ってもよい環境になれば旅行に行きたい」かという設問に対して「是非行きたい」が46.2%、「行きたい」が21.7%、「やや行きたい」が12.6%と合計すると80.5%の回答者が旅行に行きたいとの回答結果でした。今回2021年1月調査では「是非行きたい」が55.2%%、「行きたい」が18.8%、「やや行きたい」が9.5%と合計しますと83.6%の回答者が旅行に行きたいと回答しています。
前回と比較しますと、旅行に行きたいとの合計回答者割合は、80.5%から83.6%と微増という結果ですが、その内訳は前回と大きく異なります。「是非行きたい」との回答者が46.2%から55.2%と変化率で約+20%と大幅に増加していました。一方で「行きたい」の変化率が△13%、「やや行きたい」が△24%という結果であり、総じて旅行に対するニーズが前回以上に積極化している様子が窺えました。この「是非行きたい」と旅行に対する態度がより積極化した回答者について、年齢別で見てみますと30歳代から高齢層で総じて+20%を超えていました。また男女では女性に顕著に見られ、男性全体では約+16%、女性全体では約+24%という結果でした。「是非行きたい」と回答した女性のうち年齢別回答者割合を見ますと、女性20歳代では同年代別中で71.2%、女性30歳代で同67.3%、女性40歳代で同53.4%、女性50歳代で同47.8%、女性60歳代で同48.1%という結果でした。上記結果は、昨年4月以降続く自粛要請や新型コロナウイルス感染症に対する恐怖心を背景に、早く平時に戻って以前と同様に楽しみたいという想いが強く、「旅行」がその象徴的活動ということなのかもしれません。上記の旅行に行きたいと回答した人のうち200名を無作為にピックアップし、さらに、旅行に行くと想定した場合の「距離圏」を調べてみますと、「海外旅行でも良い」との回答者について、前回22%が、今回47%、「日本国内でできるだけ近場が良い」との回答者について前回13.5%が今回6.5%という結果であり、前回は距離圏についてできるだけ近場がよいと考えていたものが、今回は行けるのであれば、距離圏に拘らないという結果でした。「以前よりも旅行に行きたいと強く感じる」と回答した人については、前回が27%、今回は35%という結果でした。「以前より旅行に行きたいと感じる」と回答した人については、前回が20%、今回は18.5%、「以前より旅行に行きたいとやや感じる」と回答した人については、前回が12%、今回は12.5%であり、それらを合計しますと、前回が合計59%、今回は合計66%と旅行に対して積極的な姿勢に変化している様子が明確となるという結果でした。
一般社団法人観光品質認証協会 統括理事
㈱サクラクオリティマネジメント 代表取締役
㈱日本ホテルアプレイザル 取締役
不動産鑑定士,MAI,CRE,FRICS 北村 剛史