【ポスト・コロナ時代に向けた宿泊施設の取り組み27】今後一層重要となる宿泊施設と地域との関係 観光品質認証協会統括理事・サクラクオリティマネジメント代表取締役 北村剛史


北村氏

 私共、観光品質認証協会は、DMO等と連携して、DMO等による「安全・安心・誠実」というコンセプトを擁した「サクラクオリティ」という宿泊施設向け品質認証制度を構築し、それを様々な形でサポートしています。DMO等との連携を重視する理由は、品質認証制度を介して宿泊施設とDMO等が連携し、宿泊施設と地域が有機的な関係を有すること自体が上記「安全」のみならず顧客が感じる「安心」に大きく関係するからです。例えば弊会調査でも、「宿泊施設が地域と一体となった取り組みを実践している場合」、ホテルでは75%の顧客が「安心」すると回答しており、旅館では同74%という結果でした(全国男女200名に対するインターネットアンケート調査、2019年、弊会調べ)。

 それだけではありません。観光地域の情報内に品質認証施設に関する情報が一緒に提供されることによる大きな効果が期待できます。弊会が実施いたしました宿泊施設に対する顧客購買行動パターンに関するアンケート調査(全国200名の男女に対するインターネットアンケート調査、2020年、弊会調べ)を見てみますと、まず旅の目的地であるデスティネーションを選択してから、宿泊施設候補を5施設程ピックアップし、さらに最終的には口コミやその他様々な情報に基づき1施設に絞るとの回答が非常に多く、まず地域の魅力を伝える必要があります。その他関連する弊会調査においても、「宿泊施設の品質認証マークを多く情報発信している地域」については、「地域が一体となった観光取り組みが高いレベルとの印象を受ける」との回答者割合が約54.8%、「魅力的な観光地だとの印象を受ける」との回答者割合が約57.8%、「どのような観光素材がその地域にあるのか、興味を抱く」との回答が約59.4%と、DMO等を通じて地域情報と同時に宿泊施設の品質情報を伝えることに大きな効果が期待できるのです。

 今後はさらに、上記取り組みは感染症拡大防止対策という観点からも重要だと考えています。上記購買行動パターンから考えても宿泊施設の感染症拡大防止対策が徹底されているだけではなく、感染症拡大防止対策の徹底が求められる環境においては特に、顧客が訪れる観光地全体の感染症拡大防止対策の意識の高さや取り組み内容が可視化されることを含めた取り組みが重要であるはずなのです。ここでサクラクオリティでは、感染症拡大防止対策用マニュアルをサクラクオリティ参加宿泊施設に提供していますが、宿泊施設だけではなく、移動手段、地域の商店、売店、アクティビティ施設等様々な事業会社にご活用いただけるよう上記マニュアルの無償提供を2020年6月より続けています(弊会HPより現在「第18版」を無償提供しています。※https://www.sakuraquality.com/)。

 さらに、地域と一体となった取り組みを行い、地域社会に宿泊施設が貢献する仕組みを有することに加えて、スタッフと顧客の満足度を向上させること、つまり宿泊施設に関連する「ES」-「CS」-「地域活性化」の3つを望ましい形で繋げる仕組みこそが、今後一層の拡大が予想される個人市場において、そのような取り組みを重視する宿泊施設のブランディングに繋がるという信念に基づいています。以上のように、宿泊施設と地域との関係が一層重要となる環境において、弊会では、地域と宿泊施設を繋ぐ役割を担う仕組みの一つとして、DMO等と連携し宿泊施設に品質認証を提供しているのです。

一般社団法人観光品質認証協会 統括理事
㈱サクラクオリティマネジメント 代表取締役
㈱日本ホテルアプレイザル 取締役
不動産鑑定士,MAI,CRE,FRICS 北村 剛史


北村氏

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒