【ニューノーマル 新常態の観光戦略8】早すぎないか、旅先の朝食時間 元旅行読売出版社社長兼編集長 神崎公一

  • 2021年4月17日

 数年前、北関東の温泉地に向かうバスの中でスペイン人夫婦の旅行者と知り合った。日本旅行は2回目ということで、今回は和風旅館に泊まり、部屋食を楽しみたいとうれしそうに話してくれた。帰路、偶然にも温泉地の最寄り駅でこの夫婦と再会した。

 「温泉に初めて入った。熱い湯には参ったが疲れが取れたし、浴衣もリラックスできた」などと会話が弾んだ。「ところで」と彼が切り出したのは、朝食があわただしくてくつろげなかったとのことだった。

 彼らの宿泊先はチェックアウトが10時。朝食は7時から9時まで30分刻みで予約するよう言われたので、9時にしたという。翌朝、食事処に向かったところ、日本人客の大半は朝食を済ませ、テーブルに着いたのは彼らだけだったという。しかも、食事処の隅の方では後片付けが始まっていて、落ち着いて味わえなかった。これが唯一、残念だったと明かしてくれた。

 朝食は9時まで、チェックアウトは10時というのは理解できる。最近はレイトチェックアウトをうたい11時、あるいは正午としている宿泊施設もある。

 その一方で、北陸の旅館組合の一覧を眺め驚いた記憶がある。チェックアウトが9時、9時半という記載があったからだ。それだと朝食は7時台には済ませておかないと落ち着かない。関係者に尋ねると、冬場の海鮮鍋の季節は、地元老人会の昼宴会が多く、その準備のためチェックアウトを早めていると教えてくれた。

 旅行はくつろぐため、非日常的なひと時を過ごすためのものではないだろうか。自宅の休日朝、平日と同じような朝7時過ぎに朝食をと言ったら、家人にいい顔はされない。旅先でのあわただしい朝食は御免被りたい。

 10年ほど前、中東のドバイに出かけた。ホテルの朝食は11時半までだったと記憶する。ホテルに4泊したのだが、3泊目の朝、寝坊してレストランに行ったのは11時過ぎだった。「しまった出遅れた。この時刻では朝食にありつけないかな」と思ったが、急かされることもなかった。

 連泊客が多く、あわただしくチェックアウトする客が少ないため、朝食もゆっくりだった。余談だが、客室の歯磨きは自宅で使うような大きなチューブだった。連泊するので、小さなチューブでは用をなさないためだと想像できた。

 1年延長となった東京オリンピック・パラリンピックは、外国人は無観客で行われることとなった。また、新型コロナ感染症の収束も見通せず、近々のインバウンド回復は期待できない。各種調査によると、2022年半ばという結果が多いようだ。

 インバウンド復活の折には、おもてなしの一つとして、朝食の時間帯を一考することは必要ではないだろうか。連泊が多く、ゆっくり起きて、朝食を味わい、せかせかと移動することをしない旅のスタイルが多いのが訪日外国人観光客なのだから。

 (日本旅行作家協会評議員、元旅行読売出版社社長兼編集長)

 
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