【データ】SDGsと社員のモチベーションに関する調査 JTBコミュニケーションデザイン調べ

  • 2021年11月19日

 JTBコミュニケーションデザインは10日、SDGsと社員のモチベーションに関する調査の結果を発表した。 

 SDGs(持続可能な開発目標)達成への取り組み・サステナビリティ推進の取り組みは、近年社会的な関心を集め、企業活動においてもその重要度が指摘されています。このたび、JTBグループで様々なコミュニケーションサービスを提供する株式会社JTBコミュニケーションデザイン(以下JCD)は、「SDGsと社員のモチベーションに関する調査」の報告書をまとめました。
本調査では、全国の企業に勤める男女1,030人を対象に、勤務先の会社のSDGs達成への取り組みについて調査し、その詳細や影響を明らかにしました。調査結果からは、会社としてのSDGs達成への取り組みと社員のモチベーションとの関連や、17の目標の影響の違い等に関する示唆が得られました。
【調査結果のポイント】1.  会社員のSDGs認知度は82.5%と、高い水準
理解度は56.0%、年代や役職が高いほど、認知度・理解度が高い傾向。
2. 会社のSDGs達成への取り組みを評価21.6%、会社はSDGs達成に取り組むべき48.3%
役職が高いほど、会社はSDGs達成に取り組むべきと回答、部長クラスでは61.6%。
3. 社員として取り組みたいのは「働きがいも経済成長も」67.3%、「すべての人に健康と福祉を」66.5%。
会社が取り組んでいること以上の結果に。
4. 会社のSDGs達成への取り組みは、社員のモチベーションや就業継続意欲と関連。
会社の理念・ビジョンの実現、ダイバーシティ推進、業務効率化、などとも関連。
5. 取引先の会社にもSDGs達成への取り組みが求められる
役職者の4割以上が、「今後は、取引先の会社がどれだけSDGsに取り組んでいるかを、今よりも意識する」と回答(取引先のないケースを除く)。
6.社員が、会社のSDGs達成への取り組みを知るのは、「社長や経営層からのメッセージ」が最多。

【まとめと提言】
●SDGs達成への取り組みは社員のモチベーションに関与し、結果的に会社の業績向上に寄与する
●社内コミュニケーションによって、SDGs達成とモチベーション向上の相乗効果をさらに高めることができる

 

  • <調査概要>
調査方法 インターネットリサーチ
調査地域 全国
調査対象者 全国在住の企業に勤務する男女で、以下の対象者を抽出。
・従業員数500人以上の企業にフルタイムで勤務
・一般社員から部長クラス
・20歳代から60歳代までの各年代同人数にて抽出
有効回答者数 1,030人
実施期間 2021年9月7日~9月8日

 

  • <主な調査結果>

【1】会社員のSDGs認知度は82.5%と高い水準
理解度は56.0%、年代や役職が高いほど高い傾向。

SDGs認知度(「これまでに、SDGsという言葉を聞いたことがある」)をあてはまる・計(「あてはまる」+「まああてはまる」)でみると82.5%。会社員の間で、高い水準で認知されていることがわかりました。理解度(「SDGsの内容を理解している」)は56.0%にとどまっています。

  この結果を年代別でみると、50代・60代は6割を超えており、年代が高いほど理解が進んでいます。また、
役職別でみると、課長・次長クラス以上は7割を超えており、役職が高いほど理解度は高くなっています。

【2】会社のSDGs達成への取り組みを評価21.6%、会社はSDGs達成に取り組むべき48.3%役職が高いほど、会社はSDGs達成に取り組むべきと回答、部長クラスでは61.6%。
勤め先の会社の「SDGs達成の取り組みを評価できる」は21.6%、「今後、勤め先の会社はSDGs達成に取り組むべき」は48.3%で、現状の取り組みへの評価と今後の取り組みへの期待にギャップがあることがわかりました。役職別でみると、役職が高いほど期待が高く、部長クラスでは61.6%となっています。

  自由記述の回答を見ると、「勤め先の会社のSDGs達成への取り組みを評価できる」理由は、“グループ企業全体で推進本部を立ち上げ、進捗状況は都度全社員に広報されている(男性64歳/部長)”、“SDGsに関する全社員向け研修が、頻繁に実施されている(男性55歳/課長・次長)” など、組織を上げての活動に関する記述が散見されました。”社長自らSDGsを推進(男性62歳/一般社員)”、“経営陣が真剣に取り組んでいる(男性51歳/課長・次長)” という社長や経営層の関与に関するコメントが複数見られました。また、”GHG排出目標を掲げて着実に推進している(男性60歳/部長)”、 “新たな商品やサービスを企画する際に、SDGsへの貢献度を視点に入れている(男性58歳/課長・次長)” など具体的な施策内容が記述されました。
一方、SDGs達成への取り組みを評価できない理由は、“宣言はしているが、具体的な数値目標が定められていない(男性46歳/課長・次長)”、“取り組み作成がゴールになってしまい、社員全体にメッセージが届いていない(男性48歳/課長・次長)” など、具体的な目標がないことと、社員への告知や説明が不十分という意見が多く見られました。

【3】社員として取り組みたいのは「働きがいも経済成長も」67.3%、「すべての人に健康と福祉を」66.5%。
会社が取り組んでいること以上の結果に。

SDGsの17の開発目標について、会社が取り組んでいることと社員として取り組みたいことを尋ねました。社員として取り組みたいことは、目標8.「働きがいも経済成長も」67.3%、目標3.「すべての人に健康と福祉を」66.5%を筆頭に、6目標で6割以上の回答率となりました。すべての目標で、社員として取り組みたいことが、会社が取り組んでいることを上回り、社員としての積極的な姿勢が示されました。

【4】会社のSDGs達成施策の中で、社員のモチベーションとの関連が最も高かったのは、
「社員に対して、SDGs達成の意識を高めるような告知や教育などの活動を行っている」こと。

社員へのSDGs達成の告知や教育(「勤め先の会社では、社員に対して、SDGs達成の意識を高めるような告知や教育などの活動を行っている」)が実践されているほど、社員のモチベーション(「勤め先の会社では、社員の仕事に対するやる気(モチベーション)が、全体的に高いと思う」)も比例して高くなっています。
さらに、会社の理念・ビジョンの仕事を通じた体現(「私は、会社の理念・ビジョンを日々の仕事を通じて体現している」)やダイバーシティ推進(「会社では、ダイバーシティ推進が進んでいる」)も肯定する割合が高くなっています。
SDGs達成の告知や教育は単に企業活動の共有にとどまらず、社員のモチベーション向上や理念・ビジョンの体現、ダイバーシティ推進といった、仕事への意識や職場の多様性にも関わっていると言えます。

【5】17の開発目標の中で、就業継続意欲などモチベーションとの最も高い関連が示されたのは、

  開発目標8「働きがいも経済成長も」への取り組み
17の開発目標の中で、就業継続意欲などモチベーションとの最も高い関連が示されたのは、開発目標8「働きがいも経済成長も」でした。この目標への会社の取り組みを認識している社員ほど、モチベーション(「勤め先の会社では、社員の仕事に対するやる気(モチベーション)が、全体的に高いと思う」)や就業継続意欲(「私はこの先も、今の会社に勤め続けたい」)が高い傾向がありました。
さらに、「私の職場では、業務効率化が推進されている」「会社には、業務遂行、スキルアップのための教育制度が整備されている」といった業務効率や業務遂行に関する回答との関連も明らかになりました。まさに、働きがいと経済成長の双方への取り組みが社員の意識にも反映していることが伺えます。

【6】取引先の会社にもSDGs達成への取り組みが求められる

役職者の4割以上が、「今後は、取引先の会社が、どれだけSDGsに取り組んでいるかを、今よりも意識する」と回答(取引先のないケースを除く)
「今後は、取引先の会社が、どれだけSDGsに取り組んでいるかを、今よりも意識するようになると思う」では、全体の36.9%が肯定しており、特に、課長・次長クラスは45.1%、部長クラスは42.3%と役職者は4割以上がこの点に注目していることがわかりました。現状、「取引先の会社を選ぶとき、どれだけSDGsに取り組んでいるかを考慮している」人は全体の2割程度ですが、今後はSDGs達成が取引先の企業選定にも影響を及ぼす可能性が高いといえます。

 

 

 

【7】社員が、会社のSDGsへの取り組みを知るのは、「社長や経営層からのメッセージ」24.3%、「会社のホームページや広告活動」23.3%、「社内掲示物や社員向けポータルサイト」20.4%。
勤め先の会社のSDGsへの取り組みを知るのは、「社長や経営層からのメッセージ」が24.3%で最も高くなっています。以下、「会社のホームページや広告活動」23.3%、「社内掲示物や社員向けポータルサイトなど」20.4%と社内外への広報活動が続きます。
役職別でみると、課長・次長クラス以上は多くの接点から情報を得ているのに対して、一般社員ではいずれも2割にも満たない状況にとどまっています。特に、「社長や経営層からのメッセージ」は役職者と一般社員とのギャップが大きいことがわかります。

 

  • <まとめと提言>

SDGs達成への取り組みは社員のモチベーションに関与し、結果的に会社の業績向上に寄与する
社内コミュニケーションによって、SDGs達成とモチベーション向上の相乗効果をさらに高める

会社員のSDGs認知度は8割以上と高く、勤め先の会社はSDGs達成に取り組むべきとした人は5割近く、役職者では約6割に上りました。仕事を通じて社会と関わる会社員は、社会の大きな潮流の一つであるSDGs達成・サステナビリティ推進について意識が高く、自社も取り組むべきと考えていることがわかります。一方、現在の会社のSDGs達成への取り組みを評価できると回答した人は2割にとどまり、課題があるようです。
また、会社のSDGs達成への取り組みは、社員のモチベーション等との関連が見られました。取り組み施策の中でも特に、社員へのSDGs達成のための告知や教育(「勤め先の会社では、社員に対して、SDGs達成の意識を高めるような告知や教育などの活動を行っている」)はモチベーションとの関連が強く、会社の理念・ビジョンを体現することとも関連していました。開発目標の中では特に、目標8.「働きがいも経済目標も」が、社員の就業継続意欲や職場の業務効率化推進と関連していました。仕事上の取引先についても、今後はSDGs達成にどれだけ取り組んでいるかを意識すると答えた人が、役職者では4割以上に上り、取引先として選ばれる上でもSDGs達成の重要度が増すことが示唆されました。

  • SDGs達成への取り組みは社員のモチベーションに関与し、結果的に会社の業績向上に関与する

会社のSDGs達成への取り組みは、社員のモチベーションや会社の理念・ビジョンの体現と関わっていました。モチベーションは仕事の業績を向上させることが実証されており、会社の理念・ビジョンの体現は組織としての一体感の醸成を通じて業績向上につながります。会社としてSDGs達成への取り組みを行うことは、結果的に会社の業績向上に寄与し、組織の発展につながると考えらえられます。社会から求められる取り組みであるだけでなく、社員のモチベーション向上により業績を向上させ、組織として発展・存続するためにも、SDGs達成が重要であることがわかります。
組織運営においては、こうしたSDGs達成の意義と効果を十分理解した上で取り組む必要があります。

  • 社員への告知、組織としての学習を徹底する

SDGs達成のための施策として、社員への告知や教育は、特に重要です。
告知に関しては、自由記述においても、社員への告知や説明が不十分というコメントは複数見られ、組織でSDGs達成に取り組む上での大きな課題と思われます。社員が会社の取り組みについて知る方法は、社長や経営陣からのメッセージ、会社のホームページや広告活動をはじめいくつかありますが、役職が下位になるほどいずれの方法も回答数が少なく、一般社員では「わからない」が3割近くに上ります。インパクトの強い方法で、繰り返し告知する、会議やミーティングでの周知、イベントなどにおいて具体的な取り組みを実施することで周知する、具体的な取り組みに対してわかりやすく社内表彰を行うなど、一人一人の社員に直接届く告知を行うことが求められます。
教育に関しては、SDGsの詳細の理解が十分とは言えない現段階では、特に重要な項目と言えます。本調査でも、SDGsの理解度は56.0%にとどまりました。SDGsそのものの理解に合わせ、それぞれの組織に適した取り組み方法を考え、実践しながら改善するという学習の方法が必要となります。また、SDGs達成のために、という認識がない場合でも、節電を推奨したり、ごみの削減や分別を呼び掛けたりするなど、日常の中で既に取り組みを行っている場合もあります。取り組みを整理しなおし、今後の方針を明確にすることがSDGs達成への一歩となりえます。そして、こうした動きを社員に告知し、社員の知恵や意識を共有しながら、組織として学習することが大切です。

  • 社長や経営陣の関与が求められる

会社のSDGsへの取り組みを評価する理由として社長や経営層の関与を記述する回答が複数見られました。一方、社長や経営層からのメッセージが一般社員にまで届いていない実態も明らかになりました。トップがSDGs達成やサステナビリティ推進に真剣に関与する姿勢を見せること、直接メッセージを発信することが、会社の取り組みを社員に周知させ、モチベーション向上や就業継続意欲にも関わってくると考えられます。

  • 社内コミュニケーションによって、SDGs達成とモチベーション向上の相乗効果をさらに高める

会社のSDGs達成の取り組みは、社員のモチベーションや就業継続意欲との関連が見られました。両者の相乗効果は、社内コミュニケーションを促進することで、さらに高めることが可能です。

 共感を醸成する
告知や教育を、社員の共感を醸成しつつ行うことは、モチベーション効果を高める一つの方法です。例えば、アンケート調査やインタビュー調査で社員のSDGsに関する意識や実践内容について聞き、現状を把握する、さらに、実践内容について社内の部門をまたがっての共有やディスカッションの場を設ける、等が考えられます。

成果を目にしつつ、次に進む
社員として取り組みたいという回答が6割を超える開発目標が、目標4.「働きがいも経済成長も」目標3.「すべての人に健康と福祉を」をはじめ6つありました。このようにすでに関心を集めている目標から、社員を中心に実践的に取り組みを始め、徐々に教育や学習によって他の目標にも視野を広げていくというプロセスを踏めば、手ごたえや成果を目にしつつ次に取り組むことができるため、モチベーションを高めることができます。

具体的な数値目標の設定
自由記述回答には、会社のSDGs達成の取り組みを評価できない理由として、具体的な数値目標がないことを上げるコメントが複数ありました。モチベーション理論からも、目標の具体性や明確性が有効であることがわかっています。例えば事業を通じての取り組みでいえば、商品開発などに適用するSDGs達成への貢献度のチェックリストを作成し複数の目でチェックする、目標13.「気候変動に具体的な対策を」に関連して自由記述にもあるようなGHG(温室効果ガス)排出削減量の目標を設定して進捗を可視化する、などが挙げられます。また、事業外の取り組みであれば、目標5.「ジェンダー平等を実現しよう」に関連して女性管理職の割合に関する目標を定め、それに向けてダイバーシティ推進のための研修を強化する、目標3.「すべての人に健康と福祉を」に関連して社員の健康増進方針・具体的目標を定め、定期健康診断受診の徹底や健康づくり・スポーツ活動支援などの具体策を行うことなども効果的といえます。


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