【データ】2020年倒産動向 宿泊業

  • 2021年2月5日

コロナ要因が半数占める

118件、前年比57%増

 新型コロナ感染拡大はインバウンド観光客の入国停止、緊急事態宣言発令による外出自粛などで、人の移動を大幅に制限し宿泊業界に大打撃を与えた。政府は20年7月、観光業界への支援で「Go Toトラベル」キャンペーンを開始したが、一部の人気観光地や宿泊施設に予約が集中し、恩恵に与れなかった宿泊施設も出ていた。また、海外からの入国制限は緩和が進まず、盛り上がりを見せたインバウンド需要は消失したままだ。そこに11月、新型コロナ感染の第3波が始まり、Go Toトラベルキャンペーンも全国的に停止し、再び宿泊業界は苦境に追い込まれている。20年に倒産した宿泊業者は、もともと業績低迷や債務過多に陥っていたところにコロナ禍がダメ押しとなり、経営破たんしたケースが少なくない。

 20年の宿泊業の倒産は、前年の1.5倍に急増し、7年ぶりに100件台に達した。このうち、新型コロナウイルス感染拡大を要因とした倒産は55件発生し、宿泊業の倒産のほぼ半数(構成比46.6%)を占めた。業種別の構成比では、新型コロナウイルス関連倒産件数トップの飲食業(同16.3%)やアパレル関連(同16.0%)を大きく上回り、最も高い。

 直近10年間の宿泊業の倒産は、東日本大震災が発生した11年(134件)が最多で、20年は13年と並んで2番目に多い水準となった。

 負債総額は580億1200万円(前年比54.0%減)で、2年ぶりに前年を下回った。前年に400億円台の倒産が2件発生した反動減となった。

 原因別では、「販売不振」が79件(前年比61.2%増)で最多。次いで、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が22件(同22.2%増)、代表者の死亡など偶発的原因による「その他」が6件(同200.0%増)で続く。

 「不況型倒産」(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は101件で、構成比は約9割(85.5%)を占めた。団体旅行を含む国内旅行者の減少により業績が低迷していた宿泊業者は、インバウンド需要による業績回復に期待を寄せていた。しかし、コロナ禍によってインバウンド需要が消失したため、先行きの見通しが立たず事業継続を断念した事業者が続出した。

 負債額別では、5億円以上の構成比が29.6%で、前年(22.6%)より7.0ポイント上昇した。内訳は、5億円以上10億円未満が18件(前年比125.0%増、構成比15.2%)、10億円以上が17件(同88.8%増、同14.4%)だった。

 一方、1億円未満の構成比は27.1%で、前年(37.3%)より10.2ポイント低下した。内訳は、1千万円以上5千万円未満が22件(前年比37.5%増、構成比18.6%)、5千万円以上1億円未満が10件(同16.6%減、同8.4%)。

 このほか、1億円以上5億円未満が51件(同70.0%増、同43.2%)で最多を占める。

 中堅規模以上の倒産が増加する様相をみせた。

 20年の業種別倒産件数のうち、「新型コロナ関連倒産」が占める構成比は、「宿泊業」が46.6%で最も高かった。2位の道路貨物運送業(構成比34.4%)に12.2ポイントの差をつけた。新型コロナ関連倒産件数が最多の「飲食業」(138件、構成比16.3%)や「アパレル関連(製造・販売)」(76件、同16.0%)、旅行業や冠婚葬祭業を含む「その他の生活関連サービス業」(19件、同21.3%)を上回り、唯一40%台に達した。

 コロナ禍で宿泊業が受けた影響の強さを映し出している。

 従業員数別では、5人未満が59件(前年比59.4%増、前年37件)で最多だった。倒産に占める構成比は50.0%で半分を占めた。

 一方、50人以上300人未満が6件(同500.0%増、同1件)発生し、中堅規模への倒産の広がりをみせた。

 300人以上はゼロで2012年以降、8年連続で発生していない。

 地区別では、9地区全てで倒産が発生した。最多は中部31件で、関東24件、近畿21件、東北15件、九州11件、中国7件、北陸5件、北海道3件、四国1件の順。前年比では、9地区中6地区で増加した。近畿が200.0%増と3倍増で最も増加率が高く、中部106.6%増、九州83.3%増、北陸66.6%増、関東41.1%増が続く。

 一方、減少は東北の11.7%減のみ。北海道と中国は前年同数。

 都道府県別では、39都道府県で発生した。長野12件が最多で、東京11件、静岡9件、三重、京都、福島が各5件、大阪、兵庫、奈良、新潟が各4件で続く。

 件数が5件以上のうち、前年比は京都400.0%増(1↓5件)、長野300.0%増(3↓12件)、東京83.3%増(6↓11件)と、3都府県で際立った。

 国内外からの訪客が多数にのぼる京都や東京、温泉地やスキー場など多数の観光地を抱える長野でコロナ禍の影響が大きかったことを映し出している。

 

 

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