ケクストCNCは12日、「新型コロナウイルスに関する国際世論調査」の結果を発表した。
– 日本は他4か国よりも、自身の失業(39%)と企業の倒産(39%)に強い不安を示している
– 日本人の、政府のコロナ対応能力に対する信頼感は実質52%低下
– 企業が必要とする支援を政府が提供できていると考える日本人はわずか13%(他4か国は40~65%)
– コロナ後に経済の在り方が根本的に変わることを望んでいる日本人は58%で、5か国で最も高い
この「政府は経済活動と感染拡大防止のどちらを優先すべきか」という質問に対して、日本の高齢者層と若年層の回答は対照的でした。18~34歳では、景気後退の回避よりも感染拡大防止を優先すべきと考える人が他の年齢層よりもやや少ない(50%)のに対し、65歳以上では感染拡大防止を優先すべきとの回答が73%に上りました。
加えて当調査では、経済への強い不安および日本政府のコロナ対応への不満が明らかになり、結果としてワクチンの有無に関わらず自身の行動パターンやライフスタイルは変化する、またコロナ後の日本経済の根本的な変化を望むと答えた割合が他4か国よりも多い結果となりました。
日本人は健康面での不安を感じているが、それ以上に経済的な影響を心配している人の割合が他4か国より目立つ
日本人の新型ウイルスに対する不安の程度は、他の調査対象国と同程度でした。他4か国と比較して、日本は家族の健康を心配する人の割合が46%と5か国の中で最も低い一方、国全体のビジネスの状況と国全体の経済状況への不安がそれぞれ68%および74%と、1ポイント差でアメリカに次いで2番目に高い結果となりました。年齢で大きな差が出た「経済活動と感染拡大防止のどちらを優先すべきか」という質問とは異なり、経済的な不安の度合いに世代間の差はあまり見られませんでした。
また日本では、フルタイムもしくはパートタイムで就業している回答者の39%が、コロナ危機によって自分の会社が倒産しないか心配しているのに対し、他4か国で同様の不安を抱いている人は24~33%にとどまりました。同様に、自身が失業するのではないかと懸念している人の割合は日本では39%でしたが、イギリス、ドイツ、スウェーデン、アメリカでは11~23%でした。日本の世帯年収別でみると、400万以下の世帯では約半数の45%が失業を懸念していると回答しました。
実際に、「すでに失業した」と回答した人は日本全体では10%でしたが、内訳をみると世帯収入200万円以下では13%、女性は10.8%(男性は9.5%)、18~24歳の若年層は18%と他のグループより高くなりました。
なお、家計への影響が2021年以降も続くだろうと回答した日本人は、調査対象国の中で2番目に高いイギリスの34%を大きく上回り、56%に達しました。同様に、自分の生活に長期的な影響が出ると考えている人の割合が他の国では34~41%なのに対し、日本では半数の50%に上りました。
政府の対応能力およびビジネス支援に対する著しい信頼感の低下
過去2週間にわたり、コロナ危機への政府の対応能力に対する信頼感に変化があったか尋ねたところ、日本では実質52%の信頼感の低下(「信頼感が高まった」6%、「信頼感が低下した」58%)となりました。安倍政権支持者においても、実質34%の低下(「信頼感が高まった」12%、「信頼感が低下した」46%)でした。これは、実質14%および3%高まったドイツとスウェーデンとは対照的な結果となりました。また、信頼感が低下したイギリスとアメリカでも、低下したと回答した人は実質3%および12%にとどまりました。
「政府はこのコロナ禍で、企業が必要とするビジネス支援を提供していると思うか」と尋ねたところ、「そう思う」と回答した人の割合は日本ではわずか13%なのに対し、他4か国は大幅に高く、イギリスは65%、ドイツは51%、アメリカは44%、スウェーデンは40%でした。また、「政府が発表したビジネス支援は、本当に必要としている企業に届いていると思うか」との質問には、日本で「そう思う」と答えたのはわずか9%で、「そう思わない」が61%と高くなりました。
コロナ後に経済の在り方が抜本的に変わることを世界で最も期待する日本
日本は、他4か国よりもコロナ後に経済が根本的な変化することを望んでいます。58%が「経済を元の状況に戻すのではなく、これを機に経済の在り方を根本的に変えるべき」と回答し、イギリス(55%)、ドイツ(49%)、アメリカ(47%)、スウェーデン(44%)が続きました。日本に特有なのは、政権与党である自民党を含む全政党の支持者の過半数が、経済の根本的な変化を望んでいる点です。
「コロナ危機から経済が回復していく中で、最も重要だと思うことは何か」という、より具体的な質問には日本人の24%が、「将来的な健康への脅威に対して適切な準備と対策をしておく」ことと答え、「社会的弱者に対する支援を行う」(15%)、「一刻も早く通常時に戻す」(15%)と続きました。「気候保護を中心とした経済に重点を置く」と回答した人の割合はわずか2%でした。
人々がこのような経済の根本的な変化を期待すると同時に、消費者の行動もワクチンの有無に関わらず今後大きく変わると考えられます。「ワクチン開発が進んでコロナ危機が去った後に、自身の行動は感染拡大前と比較してどのように変化すると思うか」という質問に、全5か国の人が、飛行機での移動が以前より減ると回答しました。
日本では同じ質問に、「増える」と回答した割合から「減る」とした割合を差し引いたところ、24%が「減る」と答えました。
他には、海外旅行をしない(31%)、サッカーや野球の試合などのスポーツイベントに行かない(28%)、映画館に行かない(25%)、コンサートなどの大規模イベントに行かない(25%)、公共交通機関を利用しない(19%)、飲食店での外食をしない(19%)などの声が上がりました。また、国内旅行が以前より減ると答えた人の割合が日本では実質16%だったのに対し、イギリスとスウェーデンでは逆に「増える」と回答した人の数値はそれぞれ実質10%および7%でした。
※この国際世論調査の詳細はこちらでご覧いただけます(英語のみ):
https://www.kekstcnc.com/insights/covid-19-opinion-tracker-edition-2
<調査概要>
- 調査対象者: 日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、スウェーデンの18歳以上 各1,000人
- 実施期間: 2020年4月27日~5月1日
- 集計結果について: 各国の年齢・性別および国内の地域的偏りを調整するために加重
- 誤差の範囲: +/- 3.3%(各国)