
Agooraは13日、子育て中のシングルマザー256人を対象とした生活状況調査の結果を発表した。
株式会社Agoora(本社:東京都杉並区、代表取締役社長:阿部智生)が運営する弁護士相談ポータルサイト「離婚弁護士相談広場」( https://www.riconhiroba.com/ )では、シングルマザーとしてひとりで子育て中の未婚女性256人を対象にアンケート調査を実施し、設問ごとに集計した結果がまとまりましたので、お知らせします。
調査概要
目的 : 離婚弁護士相談広場のサイト利用者に、より適切な対応が行えるよう、子どもと同居でひとり子育て中の全国20~59歳の未婚女性を対象とした離婚の経緯、現在の家計、生活状況、離婚満足度などに関する調査
実施 :離婚弁護士相談広場 編集部
回答方法:Webアンケート調査
調査日時:2021年12月14日~20日
予備調査:全国の20歳~59歳までの未婚子あり女性 1,000人
本調査 :2021年12月時点で、離婚してひとりで子育て中のシングルマザー女性 256人
サマリー
・子あり家庭における2大離婚要因は「性格の不一致」と「経済的理由」
・シングルマザー生活で最大の不安・負担は「収入が少なく生活が苦しい」こと
・経済的な不安を抱え、仕事と子育てに忙殺される中で、将来への不安を感じるシングルマザー像が浮き彫りに
・特に負担になっているのは住居費・食費。家計に悩むシングルマザーの半数以上。
・トータルで高額になる教育費・水道光熱費など、固定費への不安が上位に。
・離婚して子育て中のシングルマザーの6割近い方は、慰謝料や養育費を受け取っていない
・経済的な負担など厳しさは感じていても、シングルマザーの離婚満足度は97%
詳細
Q1:離婚に至った主な理由を教えてください。
はじめに、離婚してシングルマザーとなった256人の方に、夫と離婚した理由として、あてはまるものをすべて上げてもらった。
Q1離婚に至った主な理由
性格の不一致 | 51.95% | 133 |
経済的理由(借金・浪費・働かない等) | 43.75% | 112 |
精神的な暴力・ストレス(モラハラ行為やいやがらせ、自由の束縛など) | 32.81% | 84 |
相手の不貞行為(浮気・不倫など) | 31.25% | 80 |
子どもの問題(子育てへの協力や教育方針など) | 27.34% | 70 |
家庭生活に問題がある(家事をしない・無視するなど) | 22.66% | 58 |
DVなどの暴力行為 | 18.36% | 47 |
親族との関係(姑問題など) | 15.63% | 40 |
性の問題(セックスレスなど) | 10.16% | 26 |
病気(うつ病など)や看病の負担 | 5.08% | 13 |
その他 | 2.34% | 6 |
シングルマザーの離婚理由として最多となったのは「性格の不一致」
256人中133人(51.95%)と全体の半数以上が離婚理由として選んでいた。
2番目は借金・浪費・働かないなど経済的理由が112人(43.75%)。
回答者が100人を越えたのは「性格の不一致」「経済的理由」の2つのみ。子持ち家庭における離婚要因として特に影響の大きいのが、この2項目と言える。
続いて、精神的な暴力・ストレス84人(32.81%)、相手の不貞行為(浮気・不倫など)80人(31.25%)が近いところで並んだ。
なお、離婚理由として「精神的な暴力・ストレス」を上げた84人のうち、「DVなどの暴力行為」をあわせて理由にあげていたのは33人と、半数以下にとどまった。
直接的な暴力がなくても、モラハラ行為・いやがらせなど夫から受けた精神的ストレスを理由に離婚を決断している人も多い現状が垣間見える。
Q2:離婚後の生活で不安・負担に感じていることはありますか?
Q2離婚後の生活で不安・負担に感じていること
離婚後の生活における最大の不安・負担としては「収入が少なく生活が苦しい」が55.08%で、最大となった。シングルマザーの半数以上は経済的な不安・負担を感じていることがわかった。
次に「自分の将来への漠然とした不安」(49.61%)、「仕事と子育ての両立」(48.05%)と続いた。
4位は「パートナーがいない寂しさ」(21.48%)となるが、3位と4位を比べても両者の間には2倍以上のポイント差があることから、
・収入が少なく生活が苦しい
・自分の将来への漠然とした不安
・仕事と子育ての両立
これら3項目が、シングルマザーの生活において特に中心的な負担となる課題であるものと考えられる。
Q3:特に出費として苦しいのはどの項目ですか?家計への影響を感じる項目を 3つお選びください
前の質問で「収入が少なく生活が苦しい」と回答した方に対して、特に出費として苦しいと感じる家計の費用項目を3つ挙げてもらった。
Q3特に出費として苦しい項目
特に負担の声が多く集まったのは「住居費」(63.12%)、「食費」(56.74%)で、いずれか3項目を選ぶアンケート形式にも関わらず、住居費と食費についてはともに回答者の半数以上が選択していた。
第3位となったのは「教育費」(40.43%)回答者が子育て中のシングルマザーということもあり、保育園・幼稚園から高校・大学まで、トータルで高額となる教育費に対する不安が数字となって表れたものと考えられる。
以後、水道光熱費(33.33%)、自動車費(26.95%)、保険代・通信費(ともに18.44%)と続いた。
固定費を中心に、生きていく上で不可欠な必要経費と言える項目が上位に並ぶ中、同程度の位置に保険代が入ってきた点には、万一の場合に備えておきたい、ひとり親としての想いが見て取れる。
一方で
・医療費 (7.09%)
・趣味・遊興費(おこづかい) (7.09%)
・被服費(6.38%)
・美容費(4.26%)
などの出費については集まった回答も少なく、シングルマザー世帯の家計負担としてはあまり認識されていないことがわかった。
Q4:別れた夫から慰謝料や養育費はもらっていますか?
Q4別れた夫から慰謝料や養育費をもらっているか
・シングルマザーの方で慰謝料や養育費をもらっている人は全体の41.4%
・のこり58.6% のケースでは、慰謝料や養育費をもらわずに子育てをしている
・離婚してシングルマザーになった場合、6割近い方が慰謝料や養育費を受け取っていない実態がある
子のいる方が離婚を考える上では、6割のケースで慰謝料や養育費の支払いを受けていない点は、理解しておく必要があるシングルマザーの現実と言える。
離婚に踏み切る前に、自分と子どもが生活できる経済的な状況をどのように作るか、確認しておくことが重要である。
自分の収入と、子どもとの生活に必要なお金を試算しておくことで、シングルマザー家庭として生きていくためにどれだけの金額が必要なのかが把握できる。
子どもの生活・養育にかかるお金は、必ずしも、母親自身の収入だけでカバーすべきものではない。母親の収入で不足する分については、父親に対して子どもの養育費として請求する権利がある。
Q5:現在の暮らしをふまえ、離婚してよかったと思いますか?
Q5現在の暮らしをふまえ、離婚してよかったかどうか
・離婚してよかったと感じる方が97.27%
・後悔していると答えた方は2.73%
シングルマザーの方にとっては、離婚することで経済的な問題が発生しやすくなる傾向はあるものの、離婚に踏み切ったこと自体に後悔するケースは非常に少なく、離婚満足度は97/100と非常に高いとなることがわかった。
総括
今回の調査結果や、集まった生の声もふまえると、子どもを抱える母親が離婚する際、最大の懸念点となるのはやはり金銭面・経済的な問題だと言える。
ひとり働きながら子育てをしていく負担は非常に重く、シングルマザーは、常に慌ただしい生活を強いられる。
子どもの体調不良で仕事を早退や欠勤するのはよくあることで、子どものケアのため賃金が低くても時間の都合のつくパートやアルバイトでしか働けないという方も少なくない。
早退・欠勤でなくても、意図せぬ会社の休業や失職で収入が減り、経済的に立ち行かなくなるリスクは、ひとり親家庭では、そうでない家庭と比較にならないほど高まる。
にも関わらず、6割近いシングルマザーが慰謝料や養育費を受け取っていないのが現状。はじめから慰謝料や養育費の請求を諦め、請求していない方も少なくないものと考えられる。
シングルマザーが抱える経済的問題を解決するには、離婚後でも母子が安定して生活できる収益構造を確保すること、母子が生活していける離婚後の生活設計を描けるかが重要となる。
子どもと自分の人生を考え、離婚を検討している方は、ぜひ離婚問題に強い弁護士にご相談ください。