日本修学旅行協会は、中学校・高等学校の国内修学旅行のほか、海外および訪日教育旅行の実態調査、修学旅行の歴史などを掲載した教育旅行年報「データブック」を毎年発行している。その2019年度版の「国内修学旅行の実態とまとめ―中学校」の中から「重点を置いた活動」と「旅行先について」の調査結果を紹介する。
◆重点を置いた活動
今回の調査結果においても旅行先の第1位は京都府であり=表2、その結果、表1をみると「遺跡・史跡・文化財・寺社などの見学」が連続第1位となっている。前回の28.1%と同様、今回も28.1%であった。
2位「平和学習」、3位「伝統的町並みや建造物群保存地区の見学」、4位「伝統工芸などものづくり体験」は、前回と順位の変動がなかった。「宗教体験(座禅、法話、写経など)」が前回8位から6位に上がった。「防災学習・震災学習」が前回15位から12位に上がった。全体的には大きな変動はなかった。
表1の修学旅行で重点を置いた活動が何であったかを割合で表わし「修学旅行で重点を置いた活動の分類別件数・比率」としてグラフ1に示した。
その中で、史跡・町並み・産業遺産・博物館などの見学などの歴史学習に重点を置くものが44.6%(前回調査45.0%)と毎年1位を占めている。ミュージカル・演劇・歌舞伎・文楽・能楽などの鑑賞、伝統文化・伝統芸能や祭り体験、美術館などの見学、コンサート・音楽鑑賞などの芸術鑑賞・体験が10.9%(同11.0%)、平和学習が9.7%(同10.5%)、伝統工芸・料理・食品加工などのもの作りが7.9%(同7.2%)となった。また、職場訪問・職場体験、販売・商業体験などのキャリア体験が5.1%(同5.2%)、宗教体験(座禅、法話、写経など)は4.7%(同3.9%)、野外活動・環境学習などの自然・環境学習の分野が3.6%(同3.6%)、農業・林業・酪農・漁業・いなか暮らし体験などの生業・くらし体験が3.6%(同3.3%)、スポーツ体験が3.1%(同3.1%)となった。
◆旅行先について
表2のカウント方法は、滞在時間に関係なく、例えば滞在が半日であっても、2日であっても、初日と3日目であっても、行った旅行先を「1」としている。
今回調査では上位については大きな変動は見られない。3位までは前回調査と同じ順位になった。大きな変動として、広島県が前々回10位から前回8位、今回7位、静岡県が前回22位から今回18位に上がったことがあげられる。
また、震災の影響があった熊本県は前回13位から今回15位とやや下がったが、岩手県は前回15位から今回14位と健闘した。