Vpon JAPANは22日、四国12観光地に対するニーズ調査と特性分析(台湾/香港)の結果を発表した。
- 四国の観光分野における背景
新型コロナ感染症による観光業への影響が続きますが、四国内の国内観光においては2021年10月から12月の期間において、四国デスティネーションキャンペーン(※)が開催され四国域内観光客の増加が見込まれています。四ツー創ではインバウンド観光におけるアフターコロナにおいて渡航制限の解除が早いと予測されている台湾・香港を重点市場に設定し、施策検討を行っていました。
- 課題
昨今の環境変化や旅行者の深層ニーズの変化により、ニューノーマルのインバウンド対策には戦略の見直しが必要となっています。特に四国のようなアクティビティから自然文化まで、観光地が豊富な広域エリアにおいては、海外へのアプローチは一層、戦略性が重要となっていました。
- 取り組み内容
台湾人・香港人の旅行に対するニーズ調査・分析。手法として、現地居住者を対象としたオンラインアンケートリサーチ。
- 取り組み結果:四国12観光地に対するニーズ調査と特性分析(台湾/香港)
「調査対象の観光地」
対象者に以下の12観光地15種類の写真提示を行い、「各観光地への興味」と行ってみたいかどうかの「旅行意欲」を調査。調査対象観光地は、徳島・香川・愛媛・高知の4県からアクティビティ軸としてハード/ソフト、自然景色軸として海&島/森林/文化の要素が含まれる12観光地(アクティビティ)をピックアップ。
(図1:調査対象アクティビティの四国の12観光地15種類)
「調査結果」
台湾人・香港人が行ってみたい観光地として、「仁淀川にこ淵(高知県)」「エンジェルロード(香川県)」「寒霞渓錦秋(香川県)」「金刀比羅宮(香川県)」「滑床渓谷の雪(愛媛県)」が上位となりました。
(図2:台湾人の行ってみたい観光地結果。上記は「強く思う」の回答数順)
また、「興味度合い」と「行動意欲」を比較し差分が多かったものは「鳴門の渦潮(徳島)」「かずら橋(徳島)」「滑床渓谷キャニオニング(愛媛)」となりました。これらは観光地に対して興味があるという回答よりも行ってみたいという回答が少なかったものになり、今後台湾人に対してアプローチする際のポテンシャルのある観光地とも解釈できます。
(図3:興味度合いと行動意欲の差分の大きい観光地/台湾人の結果)
「旅行深層ニーズ」
得られた回答結果から、因子分析を行うことで台湾人・香港人の四国の観光地に対する深層ニーズを分析し、しまなみサイクリングやエンジェルロードなどの開放感を感じる観光コンテンツ、祖谷のかずら橋や寒霞渓錦秋などの森林感、滑床渓谷のキャニオニングのようなハードなアクティビティ、鳴門の渦潮や滑床渓谷の雪の稀少感の4要素が抽出されました。
(図4:旅行深層ニーズの4要素/台湾人の結果)
(図5:旅行深層ニーズの4要素/台湾人の結果)
またこれらの旅行深層ニーズに対して、それぞれの属性を分析し、「開放感」を求める人は性別で見ると男性が多く、収入レベルが高めで、訪日経験で見ると東北経験とも相関が見られています。また歴史や遺産などにも興味を示している結果となりました。「森林感」で見ると、訪日経験は少なく1回程度の人が多いがこちらも収入レベルは高い層となりました。「ハード感」では、30-40代の会社役員や経営層が含まれており、旅行に対して地域交流やドキドキ感を求めている傾向が見られました。雪景色などの台湾人や香港人にとっては珍しいものが含まれる「稀少感」で見ると、20代で10回以上日本に訪問している訪日リピーターとなりました。こちらは収入レベルこそ高くないものの運動などのアクティビティにも興味を示していることがわかりました。
(図6:4つの深層ニーズについてそれぞれのニーズが強い層の属性まとめ)
- さいごに
観光資源の豊富な四国の12観光地(15種類)を対象にして、台湾人・香港人のニューノーマルの深層ニーズを分析し、それらのニーズの強い層の特性をそれぞれ深堀りしました。今回は主に台湾人の結果を掲載しており、香港人の場合の人気ランキングは大きくは変わらないものの興味の傾向や深層ニーズが異なる部分も見られ、情報発信などのアプローチの際は個別に考えていく必要があります。
今後もVponは日本の魅力を世界に届けるとともに観光業界のデジタルマーケティングをクロスボーダーで推進していきます。
【調査概要】
調査期間:2021年3月
観光地ニーズ調査対象:台湾人400サンプル/香港人400サンプル
※参照:四国デスティネーションキャンペーン(https://shikoku-tourism.com/dc)