【データ】全国知事会「コロナの感染拡大を受けた緊急提言」


 現在、全国各地で新型コロナウイルス感染症が再拡大し、全国の1日の新規感染者数が最多を更新するなど、依然として感染拡大が止まらず、医療がひっ迫する深刻な地域も生じている。

 このため、我々47人の知事は、感染拡大地域、感染が落ち着いている地域それぞれが役割を果たしながら実効性ある対策を行い、国民・政府とともに何としてもこれ以上の爆発的な感染拡大を防ぐよう全力を尽くす決意である。ついては、政府におかれても、下記の項目について対処されるよう提言する。

 1、Go Toキャンペーン事業について

 〇Go Toトラベル事業の全国一斉停止が目指すものは、本来は人々の往来や接触機会を減らすことにあり、年末年始に向けて、国として感染拡大地域とそれ以外の地域との往来についての考え方を示すとともに、オンライン帰省の促進や「新しい旅のエチケット」を弾力的に見直すなど、根本的に感染を抑制するための対策を早急に実行すること。

 〇今般の年末年始におけるGo Toトラベル事業等の全国一斉停止は、年末年始を静かに過ごすことで感染拡大を封じ込めるという予防的な措置として総理が決断されたものであり、我々としても協力していきたい。他方で、事業者や利用者の間で混乱も見られることから、今後はできるだけ早期に方針を示すとともに、事業の停止・再開について、感染状況のステージ判断との関連も含めて運用方針を明らかにすること。併せて、緊急事態宣言の判断についても、地方と相談の上、その方針について明らかにすること。

 ○1月12日以降の取り扱いについて、可能な限り早期に対応方針を示すとともに、Go Toキャンペーン事業が地域経済に与える効果が大きいことから、各都道府県知事の意見も踏まえた上で、感染が落ち着いている地域から順次再開するなど柔軟な対応を行うこと。併せて、政府においてもGo Toキャンペーン事業の利用者に対する感染防止対策の周知・徹底を図る取り組みを行うこと。

 ○Go Toトラベル事業の一斉停止は、宿泊施設、観光事業者だけでなく幅広い産業に影響が及ぶため、事業者への支援を手厚く行うとともに、キャンセル料の支援が交通事業者や土産物店等にも及ぶよう、旅行業者等への指導を行うとともに、早期に事業者に対して実施する救済措置の内容を公表すること。また、12月28日から1月11日の期間以外も含め、関連する事業者への十分な支援を行うことに加え、今後のGo Toトラベル事業について、期間の延長やビジネス旅行・ワーケーションへの適用検討など振興策を検討すること。併せて、地域独自の観光支援措置についても、新型コロナウイルス感染症地方創生臨時交付金などで支援すること。

 ○Go Toイート事業については、年末年始の食事券の新規販売停止や既に発行された食事券・ポイントの利用自粛要請を改めて検討するよう依頼をされたところであるが、最終的には都道府県知事の判断とされていることも踏まえ、地域の感染状況を踏まえた柔軟な対応ができるようにすること。

 2、特措法・感染症法等の改正について

 〇事業者への休業や営業時間短縮要請の実効性を担保するため、要請に対する順守義務や、違反した場合の罰則、営業停止処分、営業補償に資する協力金制度、差別・偏見防止等の措置について、緊急事態宣言が発出される以前でも必要な対策がとれるようにすることも含め、特措法等の改正の検討を早期に進めること。

 〇感染症法についても、保健所による積極的疫学調査や健康観察、入院勧告に対する順守義務の規定、宿泊施設や自宅での療養の法的根拠の規定、都道府県と保健所設置市との情報共有の規定等、感染拡大防止策の実効性を高める改正を早期に行うこと。

 3、医療提供体制や医療従事者の処遇改善について=略

 4、ワクチン接種及び保健所機能の確保について

 〇ワクチン接種について、国産ワクチン製造を支援するとともに、市町村や医療機関等が連携して円滑かつ迅速に実施することができるよう、副反応や優先接種等を速やかに明確化し、現場と具体的な情報共有を行い、国民への周知を図るとともに、自治体窓口等への支援を行うこと。

 ○優先接種の対象については、医療従事者及び積極的疫学調査や宿泊療養施設の運営に携わる職員に加えて、新型コロナ対応に携わる人が幅広く対象となるよう検討し、予防接種法に基づき都道府県で弾力的に接種対象を認める運用とすること。

 ○医療現場の負担を減らすためにも根本的に感染者数を抑制することが必要であり、積極的疫学調査や入院勧告などの重要な機能を保健所が円滑に行うことができるよう、国としても保健師の派遣や育成も含めた体制の充実・確保を図ること。

 ○検査体制の充実について、検査技師等の人材育成を図ることも含め、必要な体制の確保を図るとともに、幅広い検査により感染抑制につなげる各地域の積極的検査を支援すること。

 5、休業・営業時間短縮要請及び経済雇用対策について

 〇新型コロナウイルス感染症地方創生臨時交付金に関して、「協力要請推進枠」の年末年始における協力金の額の引き上げ、日数上限の撤廃等の運用拡大について、全国知事会からの要望を踏まえたご対応をいただき、感謝申し上げる。

 引き続き、各都道府県知事の意見も踏まえつつ、迅速かつ弾力的な運用を行うとともに、1月12日以降の協力金の額の引き上げ継続や、20%の地方負担に係る通常分の交付金の確実な措置や迅速な交付をお願いしたい。併せて、事業者や国民の協力・理解を得るためにも、営業時間短縮要請による感染拡大防止効果を明らかにし、密にならない人数とする制限も含め、わかりやすく説明を行うこと。

 ○直接休業要請の対象にならない業種においても、休業や営業時間短縮の影響が及んでいるとともに、Go Toキャンペーンの全国一斉停止もあいまって、幅広い業種が厳しい状況に置かれていることから、第3次補正予算に計上された中小企業等事業再構築促進事業や中小企業生産性革命推進事業については、多くの事業者が活用できるよう柔軟な対応をとるとともに、持続化給付金や家賃支援給付金の再度の支給や要件緩和、制度融資の融資限度額4千万円の引き上げ等の支援を行うこと。

 ○雇用情勢が厳しさを増していることを踏まえ、雇用調整助成金については新型コロナウイルス感染症の収束が見込まれるまでの間、特例措置を延長するとともに、基金を活用した「緊急雇用創出事業」を早期に創設すること。

 ○今後も引き続き経済情勢を踏まえて機動的に雇用創出・消費喚起対策や総需要対策を行うとともに、生産性向上や新たな付加価値創出、産業の国内回帰等に対する予算措置を、地域独自の対策の支援も含め、十分に講じること。

 6、水際対策等について

 〇現在、都道府県が行っている入国者・帰国者に対する健康観察については、対象人数の多さ、連絡の取りづらさ等から新型コロナウイルス感染症対策の要である保健所の負担につながっているため、入国者・帰国者に対する健康観察については、国の責任において行うなど、水際対策に係る地方自治体の負担を軽減するとともに、入国時検査が不要である感染症危険情報レベル2の国等からの入国の場合も含め、入国者・帰国者に関する情報を都道府県と共有すること。

 ○クリスマスや年末年始のホリデーシーズンを迎えることから、在住外国人に対して改めて感染対策を呼びかけるとともに、在住外国人を雇用する派遣事業者や派遣先についても業種別ガイドラインを策定するなど、感染防止対策を徹底すること。

 7、誰ひとり取り残さない社会の構築について

 〇感染者及び最前線で治療に当たる医療従事者、さらには他の都道府県からの来訪者や外国人等に対するデマの拡散、偏見や差別、心ない誹謗中傷、人物の特定などの人権が脅かされることのないよう、国においても人権を守る対策を強力に講じること。また、地方の相談窓口の設置やネット監視業務等に対する財政支援を行うとともに、国において感染者情報等の統一的な公表基準を定めること。

 ○子どもの貧困や児童虐待の潜在化などを踏まえ、子ども食堂をはじめ地域で子育て支援を行う団体への支援を強化するとともに、ひとり親への継続的な支援や、大学生の経済的負担の軽減や再び就職氷河期世代を生み出さないための対策を講じるなど、将来世代等を応援するための対策を行うこと。

 ○大学入試や就職の際に必要となる各種の国家試験について、感染が確認された場合等においても受験機会が最大限確保されるよう、国において関係機関への支援を行うなど環境整備を図ること。

 
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