
対応策の実施、検討企業は2割
商工中金はこのほど、7月に行った「中小企業のカーボンニュートラルに関する意識調査」の結果を発表した。これによると、カーボンニュートラル促進によるさまざまな影響に対して、方策を実施または検討している中小企業は全体の20%程度にとどまることが分かった。
調査は、同金庫の取引先中小企業1万413社が対象。郵送自記入方式の調査票により調べた。アンケート送付企業のうち約5割の5297社から回答を得た。
これによると、カーボンニュートラルの促進により、自社の経営に好影響・悪影響、いずれかがあるとした企業は71%にのぼった。内訳を見ると、悪影響が及ぶとみる企業の数が、好影響と考える企業数を上回った。業種別で見ると、多くの業種で悪影響が好影響を上回った。好影響が上回ったのは、39業種中「自動車小売」「木材・木製品・建材・家具卸売」「飲食店」「不動産業」「情報通信」の5業種のみ。
想定される事象6項目についての影響を見ると、「環境税導入などエネルギーコスト増加」など4項目で悪影響が好影響を上回った。「エネルギーコストの増加」以外の5項目で、影響なしが過半数を占めた。
カーボンニュートラルの促進による経営への影響について、対応策を実施もしくは検討している企業は約2割。実施・検討している企業の対応策は、電気自動車の導入など、省エネ設備への代替などの回答が目立った。
対応策を実施・検討する上での課題については、「規制やルールが決まっていない」が最も多く、以下「対処方法や他社の取り組み事例などに関する情報が乏しい」「そもそも自社の経営に影響がないと思うから」が続いた。
対応策の実施・検討に至る動機についてみると、「エネルギーコストの削減」が最も多かった。以下、「補助金・税制への優遇」「規制強化、法制化の動き」「企業イメージの向上」が続いた。中小企業によるカーボンニュートラル促進の動機について同金庫は、「(1)経済的メリットによる誘導策(2)規制強化への対応(3)企業ステータス(イメージ)向上の3パターンが考えられる」と分析する。「輸送関連」「素材・機械メーカー」などでは、「外部からの要請」が動機となるとした企業が多く見られた。