【データ】シニアのスマホと帰省に関する調査


 ブランド総合研究所は5日、「シニアのスマホと帰省に関する調査」の結果を発表した。

株式会社ブランド総合研究所は、このたび60歳以上のシニアで、デジタル化に気後れしていると危機感を持っている人を対象とした「スマートフォン(スマホ)と帰省」についての調査をインターネットを利用して実施しました(調査時期:2020年7月、総回収数1124人)。その結果、この夏に帰省をしない・してこない人が8割を超える82.5%を占めており、そのうち9割以上は新型コロナウイルス感染症の影響があることがわかりました。
また、「オンライン帰省」という言葉を知っている人は26.0%となかなか浸透していないようで、60代前半では29.6%、60代後半では24.0%、そして70代以上では23.0%と年代が高いほど認知度は低い傾向にあります。なお、これまでにオンライン帰省をしたことがある人は3.2%と極めて少数です。

<調査結果の概要>
調査を実施するに先立ち、60歳以上の男女7550人を対象とした調査を行い、「デジタル化に後れを感じている」人で、帰省する(してくる)家族のいる1645人を抽出し、調査協力を依頼しました。その結果、1124人から回答を得ました(回収率68.3%)

調査概要のページ:
https://news.tiiki.jp/articles/4558
 

◆2020年の夏はシニアの2割弱しか帰省予定がない

 

この夏の帰省の予定について「帰省の予定がある」と答えた人が8.6%、「たぶん帰省する」は10.2%で、「例年は帰省する(してくる)が、今年の夏は帰省の予定はない」との回答が26.8%、「例年は帰省する(してくる)が、状況によっては帰省しないかもしれない」が13.7%、「わからない」の40.7%を含め、8割以上が帰省を予定していないと答えています。
特に70歳以上では「帰省の予定がある」は6.1%、「たぶん帰省する」は5.2%と、合計でも1割強しか帰省をしない(してこない)という状況となっています。

◆帰省をしない理由の9割は新型コロナ

 

帰省しない人に「帰省しないのは、新型コロナウイルス感染拡大が影響していますか」と聞いたところ、「とても影響している」との回答が75.7%、「やや影響している」が14.7%となりました。合計すると、9割を超える人が新型コロナウイルスの影響を受けているという結果になりました。

◆オンライン帰省は認知度に課題

新型コロナウイルス感染症対策本部では、大型連休で外出を自粛するよう改めて要請するとともに、ビデオ通話を使った「オンライン帰省」を呼びかけています。帰省をしない(してこない)のは、こうしたオンライン帰省が普及してきたためかどうかを確かめるために、オンライン帰省についての認知度と、利用意向(興味度)について聞いてみました。
すると、「オンライン帰省」の言葉を「知っている」と答えた人は、およそ4人に1人の26.0%にすぎず、十分に認知されているとは言えないようです。ちなみに、帰省の予定がないと答えた人のオンライン帰省の認知度は25.2%でした。実際にオンライン帰省をした人は3.2%と極めて少数で、シニアにおける「オンライン帰省」の浸透度はまだまだ途上のようです。その理由として、「(そもそもスマホを持っていないため)スマホを所有した時に検討したい」(66歳、男性、北海道在住)、「孫がおしゃべりできるようになったら三世代の親交タイムを楽しみたい」(63歳、沖縄県、女性)などの意見がありました。

◆スマホでしてみたいことのトップは家族とのビデオ通話

 

「スマホでしてみたいこと」について聞いてみたところ、最も多かったのは「家族とのビデオ通話」で21.1%。これは地震速報などの「災害時の情報を確認」や、健康に関する機能やアプリ」の利用などよりも多いという結果になりました(右上図参照)。特に70代以上では22.0%と、年代が高くなるほど高い傾向にあります。

また「家族の動画を見る」も19.6%と多く、「オンライン帰省」につながるような利用スタイルを望む声は少なくないようです。

◆デジタル化の障壁は、価格と難しさ

 

 オンライン帰省を推進するためには、デジタル化への障壁を低くすることが不可欠ですが、これまで自分専用のスマホを利用してこなかった人に、その理由を聞いてみました。すると、半数を超える56.6%が「料金が高そうだから」と答え、25.6%が「使い方が難しそうだから」と答えています。
次に「スマホを選ぶ際に重視したいことはどれですか」との質問では、「料金」と答えた人が79.1%と最も多く、次いで「操作方法(簡単かどうか)」が49.1%でした(右下図参照)。特に、70代以上では「操作方法(簡単かどうか)を選んだ人が56.3%と半数を超えています。
このような調査結果から、価格を安く、そして簡単な操作であることが、高齢者にスマホの普及を促すことに不可欠であるようです。

◆専門家からのコメント(村田裕之先生)

「オンライン帰省」の認知度が低いのは、オンラインによる帰省という考え方に実感が湧かないためと考えられる。一方、スマホでしてみたいことのトップが「家族とのビデオ通話」であるのは、本当は帰省して家族との再会・交流を求める気持ちが強まっていることの表れだ。スマホによるビデオ通話の価値・利便性をきちんと理解してもらい、使いやすい製品を整備すれば、60歳以上の層でも利用者がもっと増える可能性が大きい。また、利用障壁の筆頭が「料金」である理由は、携帯電話・スマホの料金体系のわかりにくさにある。一見安いと思わせて契約すると追加料金が増えていく例がこれまで多く、警戒心が根強いためだ。価格体系を簡素化し安心感を向上することが重要だ。さらに、操作方法が難しくないかの懸念も利用障壁となっている。年配者は老眼など目に不具合が多いため、字の大きさ・視認性の良い表示が不可欠だ。

村田 裕之先生

新潟県生まれ。87年東北大学大学院工学研究科修了。日本総合研究所等を経て02年3月村田アソシエイツ設立、同社代表取締役に就任。06年2月より東北大学特任教授。19年10月東北大学ナレッジキャスト(株)常務取締役就任。20年前にアクティブシニア、スマートシニア市場の到来を予言したわが国シニアビジネス分野のパイオニア。多くの民間企業の新事業開発・経営に参画し、常に時代の一歩先を読んだ事業に取り組む。経済産業省、内閣府などの多くの公職を歴任。著書に「シニアシフトの衝撃」(ダイヤモンド社)、「成功するシニアビジネスの教科書」(日本経済新聞出版社)、「スマート・エイジング 人生100年時代を生き抜く10の秘訣」(徳間書店)など多数。

<調査概要>
・  調査方法   インターネット調査
・  調査対象   登録調査モニター(15歳以上)から、60歳以上の男女を抽出し、事前調査で帰省する(してくる)人がいる人の中で、デジタル化に後れを感じている人を抽出
・  回収数      1,124人
・  調査時期    2020年7月17日~7月26日


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