【テツ旅、バス旅5】駅名談義 旅行総合研究所タビリス代表 鎌倉 淳


 22年に開業する長崎新幹線の新駅の名称が「嬉野温泉」と「新大村」に決まりました。
 新駅の命名については、「高輪ゲートウェイ」で物議を醸したことが記憶に新しいですが、長崎新幹線の2駅はいずれもオーソドックスな名称です。新大村駅では駅名公募を実施し、「大村湾中央」「大村みらい」「新大村」が最終候補に残り、最終的には無難な「新大村」になりました。

 新幹線駅の命名の歴史は、1964年に開業した東海道新幹線にさかのぼります。「新横浜」「新大阪」のような「新」が付く形と、「岐阜羽島」のような複数の地名を組み合わせるパターンが生まれ、新幹線駅名の基本形となりました。

 その後に開業した新幹線では、「那須塩原」「白石蔵王」といった観光地を取り入れる駅名が目立ちます。「くりこま高原」「いわて沼宮内」といったひらがな表記の駅名も増えました。きわめつけは、99年に誕生した山形新幹線の「さくらんぼ東根」でしょうか。賛否あるようですが、土地の名産を駅名に掛けた斬新なネーミングで、一度聞いたら忘れられません。

 駅名というのは、当初は違和感を覚えても、やがてなじんでくるものです。それでも、いまもなじみきっていない駅名があります。一例が上越新幹線の「上毛高原」でしょう。上毛高原と呼ばれる高原地帯は存在しないにもかかわらず、「県北観光地の玄関口の機能があり、その広域性を意味するため」という理由で、この駅名になったそうです。しかし、いまだに「どこにあるのか分かりにくい」という意見があります。

 開業当時、同駅は月夜野町にありましたが、合併でみなかみ町となりました。また、近隣の主要都市として沼田市があります。そのため、最近は「上毛高原」を「沼田みなかみ」などに変更を求める声まであがっています。今年11月には、みなかみ町の商工会や観光協会が、町議会に駅名変更を働きかけるよう求める誓願書を出しました。

 新幹線の駅が改称した例としては、「小郡」から改称した「新山口」があります。しかし、改称には手間も費用かかり、実現は簡単ではありません。

 駅の名称は、その駅がどこにあるかをはっきり示すことが何よりも重要です。そうした点で、長崎新幹線の新駅名はシンプルですが奇をてらわず、よい命名だったのではないでしょうか。

 (旅行総合研究所タビリス代表) 

 
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