【テツ旅、バス旅 9】羽田空港アクセス線 旅行総合研究所タビリス代表 鎌倉 淳


 JR東日本の羽田空港アクセス線「東山手ルート」の鉄道事業が国交省から許可されました。都心と羽田空港を直結する鉄道新線が、いよいよ本決まりとなったのです。

 この路線は、JR田町駅付近から羽田空港間12.4キロを結びます。途中に停車駅はなく、上野東京ラインが新橋駅からノンストップで羽田空港駅へ乗り入れます。完成すれば、東京駅と羽田空港駅を約18分で結び、東京モノレールを使うルートより約10分短縮します。

 詳細な運転計画は発表されていませんが、東京―羽田空港間は、おおむね15分に1本の列車が運転される予定。東京駅から大宮駅を経て高崎線、東北線方面や、北千住駅を経て常磐線方面に直通運転する計画です。これらの路線にはグリーン車が連結されていますので、旅行者も利用しやすいでしょう。

 羽田アクセス線開業で筆者が注目しているのは、上野エリアです。上野には成田空港へ京成スカイライナーが20分ごとに発着していますが、現状、羽田空港へのアクセスはいまひとつです。しかし、羽田空港アクセス線ができれば、羽田空港へ約20分、成田空港へ約40分で直結し、両空港への玄関口となります。周辺に観光地も多く、外国人旅行者の宿泊拠点として注目を浴びそうです。

 羽田空港アクセス線は、上記の東山手ルートのほか、新宿・池袋方面を結ぶ「西山手ルート」、新木場・千葉方面を結ぶ「臨海部ルート」の計3ルートが計画されています。

 西山手ルートが開業すれば、渋谷、新宿、池袋といった副都心から羽田空港へ乗り換えなしで行けるようになります。臨海部ルートが開業すれば、羽田空港からお台場や東京ディズニーリゾートへの鉄道アクセスが画期的に改善されます。

 実現するかは分かりませんが、羽田空港から日光・鬼怒川や草津温泉、富士五湖方面へもレールがつながるので、直通特急の設定も期待されます。鉄道新線が、旅行者の流れを一変させるのはよくあることですが、羽田空港アクセス線の変革力は際立ちます。観光業界にとっても、その動向は見逃せないでしょう。

 東山手ルートの開業予定は2029年度で、工事が滞っているリニアより早く開業しそう。西山手ルート、臨海部ルートは先の話になりますが、今から備えておいて損はないと思わせる大型新線です。

 (旅行総合研究所タビリス代表) 

 
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