【テツ旅、バス旅 50】留萌線 鎌倉 淳

  • 2022年10月22日

 札幌駅から特急列車に乗って深川駅に停まると、ホームの反対側にディーゼルカーが1両ぽつんと停まっているのを見かけます。留萌線の列車で、1日7往復が深川駅と留萌駅を結んでいます。明治時代に開通した歴史ある路線ですが、2021年度の輸送密度は90人にとどまっており、2026年までに段階的に廃止されることが決まりました。

 先日、北海道に行った際に乗ってみると、平日の昼下がりの列車に20人近い乗客です。輸送密度90人のローカル線にしては混雑していますが、7割くらいが鉄道ファンとおぼしき客で、地元客や用務客は3割くらいでしょうか。

 深川駅を出発すると、石狩平野の北端に近い田園地帯を横切り、山間に分け入って分水嶺を越えます。短いトンネルを抜け、車窓が開けて海の香りがしてくると、終点留萌駅。約1時間の旅は、あっさりと終わりました。

 昭和の時代、留萌駅からは、羽幌や増毛方面にも国鉄線が延びていて、私鉄や貨物線の発着地にもなっていました。今から考えれば信じられないですが、留萌駅は一大ターミナルだったわけです。

 その面影はいまの留萌駅にも残されていて、ローカル線の終着駅に似つかわしくない広い構内に、2面のホームを備えます。駅舎は鉄筋コンクリートの2階建て。広めの出札口と待合室を備え、拠点駅の余韻が残ります。これだけの規模の鉄道用地と施設を全て廃止してしまうのは、もったいない気もします。

 とはいえ、現在使われているホームは1面だけで、高度成長期に作られた駅舎の外観には痛みが目立ちます。留萌市は、駅跡に公共施設や交通結節点を設ける構想を持っていますので、駅舎はいずれ取り壊されるのでしょう。

 留萌線に沿う形で高速道路が建設され、2020年に全通しました。明治時代に作られた留萌線は廃止されますが、最新の高速道路が整備されたのですから、交通の進化と捉えることもできます。札幌や旭川からの高速バスを地域の路線バスとうまく接続させれば、住民の利便性はむしろ上がるでしょう。

 留萌線ほど時代の変化を感じさせるローカル線は、なかなかありません。その廃止は、ノスタルジーとしては残念な話です。しかし、地域交通を刷新する新たなチャンスであることも認識させられます。

 (旅行総合研究所タビリス代表)  

 
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