【テツ旅、バス旅 12】路線バス共同経営の時代 旅行総合研究所タビリス代表 鎌倉 淳

  • 2021年4月3日

 大都市の中心部では、同じ道路に複数の会社がバスを走らせていることがあります。同じ区間を同じ時間に、違う会社のバスが次々と発車して、数珠つなぎで大通りを走ることも。一昔前なら「競争原理が働いている」と容認する声もありましたが、最近は、無駄と考える人が多いようです。路線バスの利用者が減り続け、バス会社が運転手不足に悲鳴をあげるなか、異なるバス会社が同一路線で競い合うのは、もはや時代遅れでしょう。そんな状況で動き始めているのが、路線バスの共同経営です。昨年11月に独占禁止法の適用を除外する特例法が施行されたことで、複数のバス会社が重複路線でダイヤ調整をしたり、運賃収入をプールして各事業者に配分することなどが可能になりました。これまではカルテルとみなされていたことが、法的に解禁されたのです。

 さっそく手を挙げたのが熊本市の5社です。九州産交バス、産交バス、熊本電鉄、熊本バス、熊本都市バスの5社が、4月1日からの共同経営を申請しました。熊本市内4方面55路線の重複区間で、運行会社が連携して系統や便数などを調整し、運行の効率化を進めます。これにより余剰が生じたバスを熊本駅方面への延伸に充当して、路線網を充実させます。前橋市や岡山市、広島市などでもバスの共同経営の検討が進んでいます。今後も各地に広がっていくことでしょう。

 共同経営のメリットはいろいろありますが、たとえば同一路線で運転間隔を平準化できます。1時間に計10本運転している区間では、複数会社で運行すると待ち時間が10分以上になるタイミングが生じることもありますが、平準化すればきっちり6分間隔にでき、利用しやすくなります。

 時刻表も統一できますので、出発案内が明確になります。複数会社で運行すると、バス会社ごとに乗り場が離れていることもありますし、同じ場所でも停留所の標識が会社ごとに分かれていることが多く、掲示されている時刻表も別々です。共同経営になれば、これらを統合して、どのバスが先に出発するか、わかりやすくなるでしょう。

 共同経営が、路線バスの抱える問題点を根本的に解決するわけではありません。乗客減と運転手不足に変わりはなく、少ない運行資源を再配分するだけという、冷めた見方もあります。それでも、人口減少時代に地域交通を維持していくための取り組みとして、注目せずにはいられません。

 (旅行総合研究所タビリス代表)  

 
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